【HQ】烏野の「姫烏」16 (完結) (ページ9)

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代表決定戦・VS青葉城西 9 ページ9

そして放たれたサーブ。余りの威力に誰もその場から動けずだった。

何今の、とただ目を見張って一瞬で通り過ぎていったボールを見送る。元々徹くんのサーブの威力は凄かったけど、これはどう見ても今まで以上────

ただそのサーブはアウトで、徹くんは悔しげに声を上げていた。

「おあっぐうううう！？ごめんんんんん！！！」
「惜っしぃ～！ナイス攻めサーブ！」
「次次ぃ！」

そこでやっと我に返った烏野、大地先輩がぱんぱん、と手を叩く。

「ラッキーラッキー！もう一本とろう！」
「すっげー！！！」
「～～～～～！」
「ヒィ……！」

しかしそれに対する反応は三者三様。夕先輩はきらきらと瞳を輝かせているし、飛雄くんは羨望や悔しさが滲んだ表情で徹くんを見ているし、翔陽くんに至っては怯えきっていた。でも気持ちはわかる、あんなサーブ、受ける側はたまったもんじゃない……私なら即吹っ飛ばされてしまうだろう。

そして24対22、烏野のセットポイント。次は一くんが攻撃を決めて24対23に。青城が後1点取ればデュースへ持ち込める、1セット目からデュースだと厳しいな、と思っていたその瞬間、ホイッスルの音が鳴り響いて私は小さく声を上げた。

「───え？」

このタイミングで青城はメンバーチェンジのようだった。変なタイミングだ、と思いつつコートを見つめていると、会ったことのない選手がコートの中へやってくる。

「……初めて見る選手ですね……」
「うん……如月は会ったことあるか？」
「いえ、私も会った事ないです」
「そうか……じゃあ最近入った選手なのかもな」

鵜飼コーチの問い掛けに首を振る。この前こっそり青城に潜入した時にも見かけなかった気がするけど、あの時は全員の姿が見れたわけではない。IH予選後に入った人なんだろうか、と思いながら見ていると───

「！！ええ！？」
「！！」
「んなっ！？！！」

私と鵜飼コーチが驚いて声を上げた。徹くんの上げたトスは恐らく金田一くんへ上げたものだった、でもそこに凄い勢いでさっき入った16番の人が割り込んで来て────そのまま力一杯にスパイクを打った。

青城は、烏野のように色んなことを試してひたすら攻撃するというタイプではない。元々熟練感のある落ち着いたプレースタイルで、烏野と比べればとても出来上がったチームの筈。なのに。

今この目の前にいる16番の人は、青城というには余りにも異質で───

烏野はおろか、青城のメンバーすら息を飲んで彼を見つめていた。