【HQ】烏野の「姫烏」16 (完結)

代表決定戦・VS青葉城西 7 ページ7

「田中よく入って来てたな！？」
「ま、全くです……！！」

鵜飼コーチが驚いて声を上げるのにメモを取りながらこくこくと頷く。予想が出来ない動きだった筈なのにあんなに綺麗に決めるなんて、流石龍之介先輩、と言うべきなんだろう。

続く攻撃、蛍くんが打った攻撃を渡さんが拾い上げる。ボールは徹くんの元で更にふわりと貴大先輩に上げられる。と、その貴大先輩の攻撃を蛍くんは見事にドシャットして見せた。

「うがっ！！！」
「うおっしゃあああ！！」
「蛍くんナイスドシャット！！」

貴大先輩の悔しそうな声と夕先輩の嬉しそうな声が同時に響く。私も小さく拍手しながら声をかけると、蛍くんがちらりとこちらを見た。蛍くんは目を細め僅かに口の端を上げる。

「────どうも」
「えっ」
「こんのやろう……見せ付けてくれるじゃねえの……」
「メガネくんわざとだな！？わざとだな！！？！？」
「別に。お姫サマの賞賛なんて珍しくないですし」
『ムカつく！！！！！』

いつもとは明らかに違う反応。変な声が口をついて出たと同時に貴大先輩と徹くんが騒いでいた。あ、なるほど青城戦だからか……と私は思わず引きつった笑いを浮かべつつ呆れて溜息をついた。本当蛍くんはそういうとこあるよね。───知ってたけど。

「月島生き生きしてるな……」
「してますね……」

そんな私の横で鵜飼コーチと武田先生も少々呆れたような笑みを浮かべつつ呟いた。



6対5で烏野の1点リード。夕先輩と翔陽くんがチェンジして、翔陽くんがコートへ戻ってきた。なんとなく表情に余裕がないような……と思いながら試合を見守る。烏野の攻撃のチャンス、飛雄くんのトスが翔陽くんへと上げられる。

「───！！」

翔陽くんのスパイクは金田一くんにブロックされる。ボールは烏野側コートへ落ちてゆく。まるで、IH予選の時のように────
思わず息を飲んだその瞬間、蛍くんがそれを拾い上げた。

「！蛍くんナイス！！」
「！？ナッ、ナイスちゅきしま！！！」

私の声に被る形で龍之介先輩の噛み噛みな声が響く。びっくりしすぎて噛んじゃったんだな………

「返ってくる！！下がれ下がれ！！」

蛍くんの上げたボールを見上げ、一くんが声を響かせる。それを徹くんが拾い上げた。

「くっそ次───フガァッ！？」
「！？！？えええ！？」

そして翔陽くんが悔しそうに声を上げた直後。飛雄くんの蹴りが翔陽くんのお尻に炸裂した。あまりにも何事すぎて私も目をしろくろさせた。本当に何事！？

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