代表決定戦・VS青葉城西 5 ページ5
「この試合、我らが女王に代わり我らが姫烏様が入られるぞコラァ!」
「どうだ姫烏の御加護だぞゴラァ!」
「わあ!?ふ、2人ともちょっとやめて下さい!!」
立ち止まったと同時に龍之介先輩と夕先輩はその勢いのままに青城にいきなり啖呵を切る。私が慌てて2人を止めていると、青城メンバーは一瞬目を丸くした後、ネット前に集まった。と、同時に烏野メンバーも私達の後ろに集まる。
「────Aちゃんが、入るの?」
「!う、うん」
「そっか」
真っ先に聞いてきたのは勿論徹くんだ。凄く静かに聞かれたのに面食らって、ぎこちなく頷くと徹くんは静かに返事をしてこちらに背を向ける。騒がなかったのが意外だったのか、青城メンバーも少々面食らった様子で徹くんを見ていたが、次の瞬間。
「知らない訳じゃないでしょ、姫烏の御加護は俺と青城にも烏野と同率ぐらいのバフがかかるの。
───俺達もこれで全力でお前らを叩き潰せる。ウシワカの……白鳥沢の前に、まずはお前らだ」
顔だけ振り返った徹くんの気迫に一気に場が凍りつく。同じチームの青城のメンバーですら息を飲んでいるぐらいで、私も固まってしまう。
「───俺達がこの前と同じだと思うなよって話だな。生憎、女王と姫に勝利を献上しないといけないんでな……叩き潰すのはこっちだ、覚悟してもらおうか」
その緊張した空気を切ったのは大地先輩だ。不敵な笑みを称えた大地先輩に、徹くんはふっとその空気のまま笑ってみせる。
「勿論。この前と同じだなんて思ってもないよ。───こっちもお姫様に勝利を献上しないといけない身なんでね」
「おいおい勝手にキャプテン対決始めてんじゃねえよ、───バレーは6人で強い方が強い。6人で勝利を献上すんだよ」
大地先輩と徹くんの会話に重ねる形で一くんが静かに告げた。……バレーは6人で強い方が強い。その言葉を噛み締めていると、貴大先輩が小さく息をついた。
「ま、厳密には6人だけじゃねえけどな。コート外にも仲間はいるんだから。まあ見てなアルビノちゃん。勝利を献上するのが青城か烏野か──真っ向勝負だ」
『───っしゃあ!負けねえぞ!!』
そう言って貴大先輩は私に不敵な笑みを向けた。私が頷くと龍之介先輩と夕先輩が声を上げ、それが合図かのようにお互い背を向ける。私も背を向けると鵜飼コーチと武田先生の元へと向かった。椅子の上に置いてあったノートとペンを取ると、鵜飼コーチと武田先生に頭を下げる。
「よ、よろしくお願いします!」
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作者名:さくら | 作成日時:2020年8月31日 23時