【HQ】烏野の「姫烏」16 (完結) (ページ29)

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代表決定戦・VS青葉城西 29 ページ29

その徹くんの表情に目を丸くしたまま視線を返していると、徹くんはそのまま私から視線を外した。
何だったんだろう、と考える暇もなく試合が再開されてしまい、少々それを引き摺りながらも私も試合へと意識を戻した。

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じわじわと緊張感と緊迫感が積み上がって行く。青城が点を取れば烏野も点を取り、それぞれが1点を確実に取って行く。

そんな中合間にブレイクを決め、先に20点台へ乗ったのは青城だった。大台の20点台に思わず息を飲む。

「────くそ！！」

ボールを上げられずに飛雄くんが悔しげに声を上げる。そこに間髪入れず大地先輩の声が静かに、けれどハッキリと響いた。

「慌てなくていい」

その一言に烏野メンバーに不敵な笑みが浮かぶ。流石、獰猛な烏達を束ねる烏野の主将。一言の安心感が違う、私も勇気づけられて落ち着きを取り戻した。
そしてすぐに烏野も点を取り返し、烏野も20点台へと乗った。───よし！思わず内心ガッツポーズ。

そしてここで翔陽くんと交代で忠くんがピンチサーバーに入る。さっきあれだけの活躍を見せた忠くんなら大丈夫、と私はノートを持つ手に力を込めて忠くんを見つめた。

忠くんは落ち着いた様子で、どこかゆっくりと静かにサーブを放った。ボールは緩やかに弧を描き青城側──狂犬さんの元へ。
狂犬さんはオーバーで受けることにしたようだったけど、またも直前でボールの軌道が変わったのか狂犬さんの手からボールが弾かれた。

「──！」

それに思わず目を見張るが、次の瞬間それを一くんが間一髪拾い上げた。それを渡さんが烏野側へと戻す。

「チャンスボォォール！！」

龍之介先輩が上げた声に合わせて烏野全員が攻撃態勢へと入る。シンクロ攻撃──！
トスは旭先輩へと上げられ、旭先輩の強烈な一撃が決まるかと思ったが、ここでも一くんが素晴らしいの一言に尽きる反応速度で拾い上げた。

「だっしゃあああ！！！」
「───！すご……」

その気迫たるや。うちのエースの攻撃なのに、と思わず呻くように声が漏れる。そして上がったボールは貴大先輩がフェイントでこちらへと落とした。
流石にこれには大地先輩や旭先輩も険しい表情を見せる。忠くんも悔しそうだ。

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その後も息つく暇もないラリーが続く。どっちも譲らないまま23対22、青城のリード。そして、このタイミングで徹くんのサーブの順番がやってきた。それに烏野側が全員険しい表情で徹くんを見ていた。