代表決定戦・VS青葉城西 3 ページ3
「あ〜〜〜〜……まあぶっちゃけ、お前らは青城と相性が悪い！ああいうザ・柔軟性&安定感！ってチームとはな」
『………………』
試合直前。集まったメンバーに鵜飼コーチが言う。それに全員が黙ったまま鵜飼コーチを見つめていた。
「────でも、越えて行くしかねえ。あの敗北を越えて来い」
『うおっしゃああああ！！！』
続けてきっぱりと言い切った鵜飼コーチの言葉に全員が声を上げる。気合は十分と言った所だ。
私も大きく息を吐くと、仁花ちゃんと上に上がって応援の皆と合流しようかと歩き出しかけたその時。
「？おい如月どこ行くんだ」
「？観客席ですけど」
鵜飼コーチに呼び止められて、立ち止まり首を傾げると鵜飼コーチと武田先生がきょとんとしてこちらを見る。と、潔子先輩が私の前に立った。そして、自分の烏野ジャージに付いていたマネージャーのワッペンシールを外すと私のジャージにぺたりと貼り付ける。
「────この試合。マネージャーとして入るのはAちゃんだよ」
「……………………は、い？？？」
潔子先輩が何を言ったのかがわからなくて完全に間抜けな声を返す。……入るのは私だって言わなかっただろうか。私がそのまま絶句しているとわっと周りが盛り上がった。
『うおお！！！マジか！！！Aが入んのか！？』
「清水粋な事するなあ！対青城になった時はそうするって決めてたのか！？」
「うん」
「流石清水……！だよな、この試合は一番近くで見たいだろAちゃん」
「へえ、そうなんだ。いいんじゃない、目の前で青城負かすの悪くないし」
「おおお熱い展開じゃねえか……！！！」
「まあ、確かにこの試合においてはAが適役だな」
「ええええ……！！？？ま、待って……！！」
私の置いてけぼり感が余りに酷くて声を上げる。流石に心の準備が全く出来ていない。思わず大地先輩へ助けを求めるように視線を向けるが、大地先輩も朗らかに笑うと、
「そうか。じゃあ、「初・姫烏の御加護」だな。相手は青城、これ以上ない初舞台だ。頼んだぞ」
と言う始末。大地先輩までこれで、どうしたらいいのかと再度潔子先輩に視線を向けると、潔子先輩は私の肩にそっと手を置くと静かに言った。
「────烏野が勝ち上がるって言う事は……彼にとっては、高校最後の公式戦になる、って事だから。ちゃんと、一番近くで見ておいで。……きっと、そうした方がいいから。あ、でもマネとしての仕事、忘れちゃダメだよ」
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作者名：さくら | 作成日時：2020年8月31日 23時
