代表決定戦・VS青葉城西 20 ページ20
「──殻を破る一本……ですか」
「……ああ、それと……反撃の狼煙の一本だ」
その様子を見ていた武田先生がぽつりと呟いたのに、鵜飼コーチは不敵な笑みを浮かべてきっぱりと言い切った。
───────
そして2本目。狂犬さんの所へ飛んで行ったボールは、狂犬さんの眼前で軌道を変え、腕に当たり飛んで行ってしまう。───サービスエース2本目!!
『やまぐちぇええええ!!!』
「おし……っ!おおっし……!!」
「忠くんすごい!!」
続けてのサービスエースに烏野が湧き、忠くんは皆からもみくちゃにされていた。私もついつい飛んで喜んでから拍手を送る、本当に凄い!鵜飼コーチの言う通り、反撃の狼煙だ……!
続く3本目、これは貴大先輩がオーバーで上げた。途端に空気が一気に緊張の色へと変わる。隣で鵜飼コーチも悔しそうに唸っていた。
ボールは徹くんから一くんへと上がる。勢いよく入って来ていた一くんは強烈な一撃を放つ、でも。
「ぐっ!!!」
「──っ!忠くん!!」
そのボールは鈍い音を立てて忠くんが身体で受けた。あまりの音と勢いに、思わず私の血の気がさあっと引く音がしたような気がする程。反射的に声を上げた次の瞬間、WUゾーンにいたメンバーが叫ぶ。
『カバァアア!!!』
そのボールは飛雄くんが拾い上げる。ボールは弧を描きセンターへいる蛍くんの元へ。
「月島ラスト!!」
「センターセンター!!」
対する青城のブロックは3枚、息を飲んで見ていると、蛍くんはそのボールを上手く徹くんの手に引っ掛けてブロックアウトにした。
「ヅッギー!!」
「月島ァア!!!」
「蛍くんナイス……!!」
緊張感から一旦解放されてホッと胸を撫で下ろす。落ちたボールを蛍くんは拾い上げ、忠くんに投げて寄越した。
「……もう一本」
「──うん!!!」
蛍くんの言葉に忠くんが力強く頷いた。と、ここでホイッスルの音が響く。青城側がTOを取った、きっと流れを切るためのTO。私はタオルとドリンクを持つと、真っ先に忠くんへ差し出した。
「忠くんめちゃくちゃ凄い…!!」
「ありがと、でもまだこれからだよ」
「!……まだサーブ権はこっちだもんね、このままお願いします!」
「おうおう頼もしいじゃねーか!」
「いいぞいいぞ、このまま行ったれ山口!」
私が興奮気味に話しかけながらタオルとドリンクを手渡すと、忠くんはコートに入る前と同じように笑いながら受け取ってくれた。それに龍之介先輩と夕先輩が力強く忠くんの背を叩く。
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作者名:さくら | 作成日時:2020年8月31日 23時