検索窓
今日:7 hit、昨日:4 hit、合計:66,072 hit

代表決定戦・VS青葉城西 19 ページ19

「本当皆こんな緊張の中凄いね……私今にも倒れそうなんだけど」
「ほんと倒れそうな顔してる。大丈夫、行ってくるよ」
「うん!行ってらっしゃい!」

私が溜息混じりで呟くと忠くんは続けて笑ったまま、けれど力強く頷いてくれた。それに大きく頷いて返すと、鵜飼コーチも静かに頷き、コートへ向かう為に身を翻した忠くんの背中を力強く押した。そして翔陽くんと交代だ。

「山口10点獲れ!!」
「それ試合終わるけど」
「許す!!!」

交代様の翔陽くんの言葉に、思わず緩く笑ってしまう。表情こそ見えないけどきっと忠くんも笑ってるだろう。

「一発いったれ山口ィー!!」
「へ、へいじょっ、平常心だぞ!!」
「ナイッサー!」
「ナイサー」
「思いっきり行けよ」
「ハイ!」
『せーのっ、一本ナイッサーブ!!』

それぞれが声をかけ、WUゾーンの皆がバッチリポーズまで決めて声援を送る。

「忠くん!……任せた!」

続いて私も最後に一言声をかける。それに忠くんはまたにこりと笑ってくれた。

───そして、次の瞬間に忠くんの表情が変わる。体育館内はそれぞれの高校の応援で騒がしい筈なのに、その喧騒が見ている私までどこか遠くに聞こえるような集中。

そんな中ホイッスルの音が鮮明に鳴り響く。焦る事もなく、ゆっくりと忠くんはボールを上げ、ジャンプフローターサーブを放った。

弧を描いて無回転で飛んだボール。

「アウト!!!」

渡さんはアウトとジャッジして触らずにボールを見送る。位置的にこちらからはアウトなのかインなのかが見えない、際どい位置にボールは落ちて───

線審の旗が振り下ろされた。



『───ぅおおおっしゃアアアアア!!!』



一呼吸空いて烏野側が全員で叫ぶ。私も先生やコーチと一緒に思わずガッツポーズ。入った……!!!!

「───そんなに驚く事じゃないデショ」

と、ここで蛍くんの声が響く。それにきょとんとしてしまうと、龍之介先輩がすかさず声を上げる。

「!またお前はそうやっ───」
「この5ヶ月、サーブだけは誰よりも練習したんだから」

『…………!』

龍之介先輩の言葉に被せるように静かに蛍くんが言った。それに、忠くんを始め、皆が目を丸くする。

「…………ほんと、素直じゃないなあ…………」

思わず苦笑して蛍くんを見るが、これはきっと忠くんに取っては最大の賛辞だっただろう。あのなかなか人を褒めない蛍くんが、「誰よりもサーブ練をしていた」と認めているんだから。

代表決定戦・VS青葉城西 20→←代表決定戦・VS青葉城西 18



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
681人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 逆ハー , 及川徹   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さくら | 作成日時:2020年8月31日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。