代表決定戦・VS青葉城西 1 ページ1
メインアリーナへ足を踏み入れると、ぴりっとした空気に包まれた気がした。その感覚に自分の表情も引き締まる。
私達の足音に、青城のメンバーがこちらを見た。それぞれの視線とぶつかり息を飲む。
この先、ずっと色褪せず忘れる事が出来ない時間が始まる。
────────
「─────ちょっと！うちのセッターに何してくれてんのそこの残念男さん！？」
「うちのセッター！？！？何ソレ俺だって言われたい！！！飛雄の癖にズルいぞ！！！」
「及川さんは烏野のセッターじゃないんで無理ですね、残念ですね」
さっきまでの緊張した空気はどこへ行ってしまったのか。公式WUが始まる直前、徹くんと飛雄くんがボールの取り合いになり、見事に徹くんに大人気ない対応をカマされ床へ転がった飛雄くんを助け起こしつつ、少々イラついた視線を徹くんへ向ける。
勿論当の本人は全く話を聞いてなくて、全然違う所で反応し勝手に文句を言っているが……こういう時までこんな感じなの、流石メンタルおばけである。
「ほんっとクソほど可愛くねえな……！！マジで今回も叩きのめしてやるからな！」
「は〜〜〜ごめんね飛雄くんいつもこんなんで……大丈夫？どこも痛めてないよね？」
「！？だ、大丈夫だ慣れてる……怪我もねえし問題ねえよ」
「よかった」
とりあえず徹くんは無視して飛雄くんの様子を見る事にして、ぱっと飛雄くんの両手を取って痛めてないかまじまじと見つめていると、それに対し飛雄くんの動きが一瞬止まり、徹くんが更に声を上げた。
「ああああ！？！？Aちゃんに手握られるとか飛雄お前ーっ！！」
「うるせえぞ及川！！！すまねえなAちゃん、影山」
「こいつこれで高3かあ…………」
叫ぶ徹くんに、いつものように一くんの一喝が飛んできた。その後ろでは貴大先輩が呆れたように呟いている。
「ああ……こっちこそごめんね、いつも幼馴染がご迷惑をおかけしております……」
『影山じゃねえが大丈夫だ、慣れてる』
「ちょっとそこの2人！？！？」
私の謝罪に一くんと貴大先輩は声をハモらせた。徹くんが更に抗議の声を上げているが当然スルーだ。小さくため息をついた後、視線を上げると一くんと目が合う。そうだ、一くんにも言わないと。
「あ……そうだ」
「？どうした」
「さっきの伊達工戦の最後、めちゃくちゃカッコよかったよ。今からあんなスーパープレイされると困るけど……頑張ってね」
「！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 681人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくら | 作成日時：2020年8月31日 23時
