【HQ】烏野の「姫烏」13(完結) (ページ32)

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春高一次予選・VS角川学園 6 ページ32

「わはは！そんなワケあるか！───単体で勝てないならな、数を増やせばいいんだよ」
「───！シンクロ攻撃……！」

鵜飼元監督の言葉と同時に視線をコートへと戻すと、皆が一斉に走り出す。そしてシンクロ攻撃は見事に決まり、私と仁花ちゃんは喜んで声を上げハイタッチをした。

『やったーっ！』

いい感じだ。シンクロ攻撃は烏野にはきっと合うとは思っていたけど、改めて見ると攻めるスタイルの烏野にはやっぱりぴったりだと思う。誰が打つかわからないというのは相手には相当プレッシャーだろうし……！

真っ向勝負では勝てなくても、そうじゃない方向へ勝負を持っていけばこっちのものだ。
このままの調子で進みますようにと願いながら私と仁花ちゃんは再度コートを見つめた。

────────

そのまま試合は烏野優位のまま進み、ついに24対19、烏野のマッチポイントとなる。後1点でこちらの勝利だけど、コートにも、見守る私達にも緊張が走っていた。
皆が見つめる先は2mの人だ。点差はかなり開いていて、これまでの試合運びからしても恐らく烏野の勝利で終わるはずだとわかっているのに────なのに、2mの人の気迫に息を飲む。あっという間に背中を掴まれてしまうのではと思う程の気迫───

そんな中、飛雄くんがサーブを打つ。それは相手側がなんとか拾い、2mの人へと繋ぐ。それを烏野側はソフトブロックで受けた。

「！ソフトブロック……！」

仁花ちゃんがメモを見ながら声を上げる。ボールは旭先輩が拾い、龍之介先輩がカバー。そして最後は翔陽くん。
このパターンはまたあの人に上から叩き落とされるかもしれない、と目を細め険しい表情で翔陽くんを見つめていたが────

「────！！あ……！！」

目の前の光景に、合宿の時の夜の練習を思い出す。
黒尾さん、リエーフくん、蛍くんの190cm×3のブロックに、翔陽くんがリエーフくんの手の先にボールを当て、見事にブロックアウトを決めたあの時の事を─────

翔陽くんが打ったボールは、2mの人の指先へ当たり、そのまま相手側コート外へと落ちた。

「──────やったああああ！！！一次予選突破！！！」
「ブロックアウト……！？」
「フジクジラいなくても勝ったあああ！！」

飛び跳ねながら皆と喜びを分かち合う。すごいすごい、ここでブロックアウトを決めるなんて流石翔陽くんだ……！！
一頻り喜んだ後、私と仁花ちゃんは駆け足で観客席を出て、皆の所へと向かった。