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春高一次予選・VS角川学園 5 ページ31

「先生!翔ちゃんのあの速攻も1stテンポなんですか!?」

ふと聞こえた声に視線を仁花ちゃんと2人で鵜飼元監督へと向ける。

「……高ーく上げたトスに合わせて余裕を持って助走を始めるスパイクが3rdテンポ、トスが上がるのと大体同時に助走を始めて、トスに合わせて打つのが2ndテンポ、スパイカーが先に助走に入ってきて、そこにトスを合わせるのが1stテンポ」
「皆が速攻って呼ぶやつ!」
「「ブロックに勝つ」という事は、「ブロックよりも高い打点から打つ」という事。チビ太郎対2m、より先に「てっぺん」に到達したものが勝者。チビ太郎のアレは厳密には1stテンポではない」
「!」

1stテンポではない。じゃあ翔陽くんのあれはなんなんだろう、とちらりと視線をコートへ向けた。ちょうど翔陽くんはコートを蹴り跳び上がった瞬間だった。

「────セッターがトスを上げた時点で、助走及び踏み切りが既に完了している状態………「マイナス・テンポ」だ」

鵜飼元監督のその言葉と同時に翔陽くんのスパイクが決まり、ホイッスルが鳴り響いた。
1セット目終了、烏野が1セット先取……!喜び合うメンバーを見ながらホッとするも、最後の攻撃を思い出してぽつりと呟く。

「マイナス、テンポ……」
「だがチビ太郎の普段の練習から考えると、あのマイナス・テンポはまだ未完成というか本領が発揮されてはねえんじゃねえかな」
「!」

あれで、まだ本領が発揮されてない……?変人速攻・改はまだここから更に上があるって事!?と再び鵜飼元監督へ視線を戻す。

「それにしてもチビ太郎のマイナス・テンポは単品では確かに凄いが、使い方が勿体ねえな」
「!?あのっ、それってどういう……!?」

鵜飼元監督の言葉に仁花ちゃんが驚いて声を掛ける。使い方が勿体ないと言うことは、もっと効果的な使い方があるという事。変人速攻・改はどこまで凄い攻撃なの……!?と思いながら仁花ちゃんと共に鵜飼元監督の言葉を待つが、鵜飼元監督はこちらに笑みを寄越しただけでそれ以上は言わなかった。

そしてホイッスルの音が響く。第2セットの始まりだ。




──────────




「先生、もしあんな大きい相手と戦う事になったら、マイナス・テンポを使えなきゃ勝てないの?」

試合を見ていると、不意に鵜飼元監督のバレーボールクラブの子が問いかけているのに視線をそちらへと向けた。それに鵜飼元監督は大きく笑ってその子の頭を撫でた。

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設定タグ:ハイキュー , 逆ハー , 及川徹   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:さくら | 作成日時:2020年6月22日 22時

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