病院にて 4 ページ4
「────本当さあ……これは一体どういう仕打ちなの……？」
「！」
「1日目電話しても出ないから、本当に連絡取る気ないのかと思ったし……まあこれは寝落ちてただけみたいだけど、結局その後6日目まで連絡らしい連絡は本当ないし、来た連絡も地味に心配させる内容だし、やっと帰って来て会えたかと思いきや即倒れるとか、どれだけ俺に心配をかけたら気が済むの……！」
「…………ごめんなさい」
合宿中の事はさておき、目の前で倒れて心配をかけたのは間違いない。そこは素直に謝った。すると徹くんは腕を緩め、怒った顔で私の顔を覗き込んだ。
「………本当はもっと色々言いたい事あるけど……高熱出してるAちゃんに言うのは酷だから、元気になってから改めて言う。とにかく今は寝る事！……とその前にまずは水分補給だね、ほら」
そう言うと徹くんは買ってきてくれたお茶のペットボトルの蓋を開けて私に手渡してくれた。私はそれを受け取ると一口飲んで息をつく。ひんやりと冷たくて気持ち良かった。
「ありがと……」
「ん。…………合宿、どうだった？」
そのままちびちびとお茶を飲んでいると、私の身体は支えたまま徹くんがベッドサイドへ座り直し、小さく問い掛けてくるのに私は緩く笑みを零した。
「うん…………楽しかった。色んな人のプレーも見れたし、烏野も大成長したし……他校の皆も優しくて。毎夜マネの皆と女子会して過ごして、本当楽しかったな……」
「…………そう」
「うん……春高予選では、負けないからね……」
「……それはこっちのセリフ」
お茶のペットボトルを横の床頭台へと置くと、私はゆっくりとベッドに横になった。元々疲れていたせいもあり再び緩やかに睡魔がやってくるのを感じると、私は静かに目を閉じる。それに合わせるように徹くんの手がゆっくりと私の頭を撫でた。
「充実した合宿だったみたいで何よりだけど……それだったら俺がいなくても、Aちゃんは全然寂しくなかったんでしょ」
「………………そう、だね」
「………まあ、わかってたけど」
「────って、言いたい所だけど……意外に寂しかったよ……」
「────え？」
徹くんのちょっと拗ねたような問いかけに小さく答えると、そのまま拗ねた響きが強い返答が返ってくる。
それに少し笑ってしまいつつ、ぽつりと本音を漏らすと凄く間抜けな徹くんの声が響いた。それに目をゆるりと開けると、驚いたようにこちらを見下ろしている徹くんを横になったまま見上げた。
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作者名：さくら | 作成日時：2020年6月22日 22時
