春高一次予選・VS角川学園 2 ページ28
「ああ……多分大丈夫だよ、試合前あんなでもね、コートに入ったら「関係ない」って顔になるんじゃないかな。ねえAちゃん」
「はい、それが翔陽くんですからね！」
「おおお……！」
潔子先輩に話を振られて大きく頷く。大丈夫、翔陽くんは有言実行の男だからね！
私も潔子先輩に続いて仁花ちゃんに笑みを返すと、公式WUのホイッスルが響いたのに、3人で皆のWUの手伝いに入った。
─────────
そして間も無く試合開始。ボールを片付けて、皆と外へと出てから仁花ちゃんと2人で並ぶ。
「3回戦！皆ファイトです！」
「上で応援してますっ」
『おう！！』
そして力強く返事をしてくれた皆とハイタッチしていく。翔陽くんはまだ少し顔が強張っていたので、それをほぐす意味でもハイタッチする時に少々皆より力を込めて手を振り当てた。
「！？だっ！？」
「〜〜っ、翔陽くんは伊達工の青根さんにだって勝ったんだから大丈夫！……行ってらっしゃい」
「日向は大丈夫！行ってらっしゃい！！」
「────おう！！」
痛みで声を上げた翔陽くんに、私も思ったより力が入って痛かったのに一瞬悶絶するも、すぐに気を取り直してきっぱりと言い切った。それに仁花ちゃんも続く。そしてふっと笑ってみせると、翔陽くんは一瞬目を見張った後力強く返事をして頷いてくれた。
───と、その次にやってきた蛍くんが呆れたように翔陽くんを見ていたのに、思わず笑ってしまいつつ蛍くんにも声をかけて2人でハイタッチをする。
「蛍くんさっきの試合のドシャットかっこよかったよー！次もお願いします！」
「──！あーもう本当タチ悪い……」
「ふふふ、もうそう言われるのも慣れたもんねー」
「月島くんファイトー！」
「……………」
蛍くんはストレートに褒められたりするのが苦手なので、褒めると必ず苛ついたように見せかけて悪態をつくんだよな〜と思うとその反応も可愛く見えてくる。私が意地悪い笑みで、仁花ちゃんが満面の笑みで返すと蛍くんはこちらに後で覚えてろ、と言わんばかりの視線を向けた後無言で行ってしまった。
皆を見送り終わると仁花ちゃんと2人で再び観客席へと上がる。一番前を陣取ってコートを覗き込んだ。
「よーし……これに勝てれば代表決定戦！！」
「大丈夫！烏野は大丈夫！」
「その通り！烏野は大丈夫！」
私の呟きに、仁花ちゃんが自分に言い聞かせるように呟いた。それに大きく頷いてみせる。
そしてホイッスルの音が響いた。3回戦、開始───！
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作者名：さくら | 作成日時：2020年6月22日 22時
