春高一次予選・VS扇南 2 ページ24
そして2セット目。2セット目も烏野は相変わらず絶好調だった。仁花ちゃんと鵜飼元監督と、元監督のバレーボールクラブの子達や他応援の人達と試合を見ていると、また翔陽くんの速攻が決まって大盛り上がりとなる。
「な!あの9番10番の1年コンビスゲーよな!」
「おう、いやしかし……2、3年が予想以上……!」
鵜飼元監督が感嘆の声音で話すのに私と仁花ちゃんも鵜飼元監督へと視線を向けた。
「………今の3年連中が烏野に入ってきたのは、烏野が強豪と呼ばれた時代がちょうど「過去」になった頃。憧れと現実のギャップもあっただろう、一番不遇な時代にいた連中なんだろうな。
…………だからこそ、腐らずにここまで来た連中には…………簡単に揺るがない強さがある」
鵜飼元監督の言葉に私は視線をコート内の2、3年生へと向ける。……一番不遇な時代にいたメンバー。でも、烏野はまたここから再起する。もう不遇な時代は終わったんだから、後は空高く飛び立つだけだ。そう思うと私は力強い視線で試合へと集中する。
そして、扇南と大差を付けた状態で2セット目のマッチポイントを迎えた。
この最後の一点は、扇南も粘りを見せた。
最後の最後、急に空気が変わったように見えて思わず目を見張る。何がそうさせたのかはわからなかったけれど……諦めない気持ちが初めて前面に出たような感覚を覚えた。
でも、それでも上を行ったのは烏野で─────
最後は翔陽くんの攻撃が決まり、試合終了となった。
25対13。セットカウント2対0。
烏野、初戦突破!!
─────────
『やったね初戦突破!!』
応援の皆さんと仁花ちゃんと一緒に喜び合ってから、荷物の移動もあるし下へ行かないと、と仁花ちゃんと2人で烏野の所へと向かう。烏野は次の相手が決まるまでは休憩なので他校の試合も観戦出来る。次を突破しなければ、代表決定戦への切符は手に出来ない。
次はどこになるだろう、と考えながら私は観客席から出て1階へ降りた。
────────
廊下へと荷物を纏めていると、烏野の相手がもうすぐ決まりそうだ、との一報で男子が全員体育館のドアから中を覗きに行ってしまった。潔子先輩と仁花ちゃんも離れており、ちょうど荷物置き場に私だけになってしまったので、気になる所ではあるが私は荷物番だ。早く先生かコーチ戻ってきてくれないかな……次の相手が気になる……とここからでは全く見えないとわかっているのに、ついつい身体をひょこひょこさせていた。
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作者名:さくら | 作成日時:2020年6月22日 22時