病院にて 14 ページ14
他の皆さんも一緒だ。というか他の皆さんに関しては、IH予選決勝後のあのやり取り以来なので気まずいにも程がある。お互いあまり印象が良くないのでは、というこの関係性においての今のこの状況。
ある意味お母さんがいなければ詰んでいたけど、この状況にしたのもお母さんなんだよなあ、と思うと楽しそうに喋っているお母さんになんとも言えない表情を向けた。と。不意にお母さんの携帯が鳴る。まさか……!
「あ。呼ばれた。えーお話途中なのに残念……!!ごめんね戻らないと、皆今度はうちに遊びに来てねー!」
「ありがとうございます、行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃいませー!」
「ごゆっくりー!」
お母さんは電話に出る事もなく白鳥沢の方々に手を振ると慌ただしく病室を出て行ってしまった。詰んだ。
「お母さん、看護師さんだったんだね〜?」
「!あ、はい……ここの救急で主任してまして……父もここの救急の医者です」
「!お父さんは医者か」
「……じゃあ君も将来は医者か看護師になるのか?」
「え?」
天童さんの問い掛けに詰んだ感からぎこちなく頷いていると、皆が目を丸くした。そして五色さんからの問い掛けに今度は私が目を丸くする。進路の事なんてまだ考えた事がなかった……
「────看護師は、向いていると思う」
「へ?」
特に何もまだ考えていないと答えようとすると、牛島さんが静かに言った。思わず間抜けな返事を返すとそれに他に方々も頷いてくれる。
「今のお母さんの感じ見てる限り向いてるよねえ、あんな感じになるのかな?いいじゃん!」
「成績いいから医者も目指せますけど……確かにイメージとしては看護師って感じですね」
「めちゃくちゃ向いてると思います!あの応援の感じなら!」
「え、ええと……あ、ありがとうございます」
急に適正を褒められて困惑しつつとりあえずお礼を告げる。得意な事なんて勉強ぐらいしかないけど、そんな私にも向いていると思って貰える職業があったんだと少し嬉しくなった。しかもこんなにすぐ近くに。
「ところで……さっきから携帯震えっぱなしだけど見なくていいの?及川さんからとかじゃない?」
「えっ!?…………あ」
将来の仕事について想いを馳せていると、白布さんが私の携帯を指差した。それに慌てて画面を見ると、徹くんからではなくて音駒の皆だった。どうやら体調を崩した事を聞いたようでお見舞いメッセージが皆から入っている。だから震えっぱなしだったらしい。
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作者名:さくら | 作成日時:2020年6月22日 22時