病院にて 12 ページ12
「頑張りましょ！二人とも気を付けて帰って下さい」
「うん、ありがとー！じゃあまた明日ねAちゃん！」
「また明日」
「また明日……！」
手を振る2人に手を振り返し、二人の姿が見えなくなるまで見送ると、私は小さく息をついて点滴棒を持つ。後もうちょっとで終わるので、それで終了で抜きに来てくれるとお母さんがさっき言っていた。もうすぐこの煩わしさからも解放だ、と足取り軽く病院内へ入ろうと自動ドアを潜ったその瞬間。
「───姫烏！」
「！？───えっ？」
突然呼ばれたかと思えば、腕を誰かに掴まれて驚いて振り返る。
振り向いた先にいたのは、驚いた表情でこちらを見下ろす牛島さんだった。
────────
「入院しているのか、何があった」
「あ、えっと全然大した事じゃないんです……！慣れない東京合宿で疲れてしまったみたいで情けない事に倒れてしまいまして……もう大丈夫なんです、明日退院なので……！」
「……そうか。確かに毎日暑いからな、慣れないとしんどかっただろう。大した事がないならいい」
「は、はい！す、すみませんお声掛けて貰って……あの、牛島さんはなんでここに」
「個人的なロードワーク中だった。走っていたらこの病院の前で烏野のジャージを来た二人とお前が話しているのを見かけた」
「……ああ……！それで……！」
病院前の道は牛島さんのロードワークのコースに入ってたんだ、と納得していると、更に背後から声が飛んでくる。
「ちょっと若利くーん！？急に一体どうしたの……って、あれっ！？！？姫烏ちゃんじゃん！！えっどうしたの入院してるの！？」
「！て、天童さん……！」
後ろから息を切らしながらやってきたのは天童さんだった。と、まだ更に遠くから声が飛んでくる。
「牛島さん、天童さん……！って、あれ？姫烏ちゃん……？」
「えっ！？どうしたんですかどこか悪いんですかっ！？」
「白布に五色ー！こっちこっちー！」
更にやってきたのは、確か私と白鳥沢の合格者説明会で会った、と言っていた人と前髪が特徴的な人だ。そういえばIH予選決勝の時に会ってはいるが名前は知らなかった。白布さんと五色さんっていうんだ、覚えておこう……
「合宿の疲れで倒れたらしい。明日には退院だそうだ」
「あーそうなの！……確かに姫烏ちゃん、体力なさそうだもんねえ……」
「運動部のイメージじゃないですしね」
「うぐ……」
「倒れるまで頑張ったんですね……！マネージャーの鑑ですね！！」
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作者名：さくら | 作成日時：2020年6月22日 22時
