東京合宿・day3 5 ページ5
『俺は、間違った事は言ってねえと思う……あの変人速攻にあいつの意志は必要ねえ、俺がちゃんとトスを上げられたら、それでいいと思う』
合宿前、飛雄くんが言っていた事を思い出す。あの時は、翔陽くんの意志は必要ない、って言い切っていたぐらいなのに……
話しているうちに気持ちが変わったのはわかってはいたけど、それでも驚きが隠せなかった。仁花ちゃんも同じ気持ちだったのか完全に呆気に取られてしまっていたが、漸く表情を戻すと呟く。
「…………鵜飼コーチ、新しい速攻は暫く封印って言ったけど……でもやっぱり、早く新しい速攻が見たいなあ」
「当然だ」
「やってやる」
「カブんじゃねー!!」
「お前だよ!!」
その仁花ちゃんの言葉に即座に反応した2人は同時にきっぱりと言い切り、そしてそのまま文句を言い合いながらそれぞれが練習に向かって行ってしまう。
私と仁花ちゃんは再度顔を合わせて笑い合うと、お互いサポート頑張ろう、と手を振り一旦別れたのだった。
────────
「─────!!!蛍くんが自分から来てる……!!」
「何その反応……」
仁花ちゃんと別れた後第三体育館へと向かうと、一足先に蛍くんの姿があって私は驚いて声を上げる。それに蛍くんが眉を寄せた。
「いや、だってだって、初日は仕方なくだし、昨日は質問への返答の代わりだし……そっかそっか〜」
昨日の話と今日のブロックでついに蛍くんも目覚めたんだなと思うと思わず嬉しくてにこにこしてしまう。それに蛍くんは更に眉を寄せた。
「いやだからなんなのその反応……にやにやしてるしなんか腹立つんだけど……」
「私はすーんごく嬉しいんだもん許して下さいな」
私がそう言うと蛍くんは何も言えなくなったのか、微妙な表情で私を見返すだけになった。それにふと思い出して声を上げる。
「あ!そういえば!!今日のブロック凄かった!!木兎さんが咄嗟にフェイントに切り替えてたけど、切り替えさせたのが凄い!やっぱ蛍くんはそつなく凄い事出来ちゃうね、流石。……これならウシワカさんのスパイクも止められるね」
「!いや、なんなのちょっとテンション高いにも程あるデショ……流石にウシワカはちょっと」
私が勢いよく褒めるのに、蛍くんはちょっとたじろいだようで引き気味だった。でもこれは恐らく照れからだ、最近結構わかるようになってきた。
「でも、蛍くんがウシワカさん止められないとなると烏野勝てないよね?……本当に何ともならない?」
「!」
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作者名:さくら | 作成日時:2020年6月10日 22時