【HQ】烏野の「姫烏」12(完結) (ページ38)

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東京合宿・day7 7 ページ38

『んだとコラァアアア！！うちのマネに何してくれたんだコノヤロ─っ！！？』
「！！！わ、誤解……！！」
「わー待って待って！！まじで待って！！Aちゃんどうしたーっ！！？」

音駒の他メンバーが一斉に叫んだのに、凄い勢いで龍之介先輩と夕先輩が飛んできた。研磨くんと黒尾さんが慌てて後ずさるのに、私もハッとすると慌てて止めに入る。

「わー！？す、すみません！！凄くよくしてもらってたので寂しくなっちゃっただけなんです！！黒尾さんと研磨くんは何も悪くないですー！！」
「ああ！？本当か！？」
「思わず涙が出る程良くしてもらってたならまあいいんだけどよ……」
「なんか俺も貰い泣きしそう……」
「本当旭お前……」

止めに入った私に龍之介先輩と夕先輩は疑わしげに私を見たが、何度も大きく頷くと渋々ながら納得してくれたようだった。こういう時のこの2人の行動力の高さにはびっくりしてしまう。後ろでは何故か旭先輩が泣きそうになっていて、孝支先輩が呆れ気味に旭先輩を見ていた。

「び、びっくりした……まあ寂しく思ってくれるならこっちこそ光栄だな！じゃあ、また一次予選の後でな」
「はい！」
「またね」
「うん、またね研磨くん」

青い顔で胸元を押さえていた黒尾さんが、手を伸ばすと私の頭をわしゃわしゃと撫でた。続いて研磨くんとハイタッチをしていると、そのまま続々と音駒のメンバーが入れ替わり立ち代わり頭を撫でたりハイタッチしに来たりで、その中には木兎さんと赤葦さんも混ざっていた。

「じゃーなAちゃん！」
「また。帰ってちゃんと休めよ」
「はい！お二人もちゃんと休んで下さいね、また！」

2人とも挨拶とハイタッチを交わしてからバスへと乗り込むと、他のメンバーもそれぞれ挨拶を交わしだす。
そしてバスがついに動き出して、手を振る皆が見えなくなるまで手を振り返して、私達は帰路へと着いた。

───ついに一週間の合宿も終わった。長いようであっという間だった。楽しかったな、と思いながら、バスの揺れに身を任せて瞳を閉じる。

恐らく帰りを待っているであろう徹くんの姿を一瞬脳裏に浮かべて、私はそのまま眠りに落ちた。

─────────

「───Aちゃん、Aちゃん。着いたよ」
「………………」

肩を優しく揺すられて私は意識を浮上させた。目を開けると潔子先輩が私を覗き込んでいた。僅かに顔を横へ向けると、既に外は暗く空には星が瞬いていた。思った以上にしっかり眠っていたらしい。