東京合宿・day7 1 ページ32
合宿最終日。今日も朝からいい天気だ。
こちらのコートでは音駒対森然、横のコートでは梟谷対烏野の試合が行われている。
私はいつも通り、音駒の試合経緯を纏めつつちらちらと梟谷対烏野の試合を見ていた。
相変わらず梟谷は絶好調。今日も木兎さんのスパイクはキレッキレだ。そんな中蛍くんも中々に善戦していて、ブロックアウトがありつつも木兎さんのスパイクを止められる頻度も明らかに増えていた。合宿中毎日練習していた成果が確実に出ている。
そして次は烏野の攻撃、これは翔陽くんが鮮やかに決めるか、と思った次の瞬間。
「アッ!?」
「…………!」
「あっ!?」
翔陽くんが放ったのは強打ではなく、フェイントだった。
ふわりとボールは梟谷側へ落ちていき、烏野と梟谷は全員が呆気に取られる。
『日向がフェイントーっ!?!!?』
「フェイントだとーっ!?」
「木兎さんが教えたんじゃないですか……」
確かに昨日教わってはいたけど、まさか昨日の今日で使ってくるなんて。流石翔陽くんとしか言いようがない、思わず拍手してしまう。
……教えた当の本人は何故か驚いているけど。
視線を再び音駒へ戻しながら、気分が上がっていくのがわかる。やっぱり翔陽くんは凄いな……!
────────
TO中、音駒の皆にドリンクとタオルを配っていると、黒尾さんと研磨くんがじっと梟谷対烏野の試合を見ている。私も釣られて再び視線を隣のコートに移す。
「────烏野今日は調子良さげ」
「木兎に触発されてんのかな〜?いい動きしてんじゃねーか」
確かに今日は点差も余り開いていないようだった。さっきのフェイントといい、もしかしたら今日は1セットは梟谷から取れるかも?なんて考えていたその時。
夕先輩のレシーブが綺麗に飛雄くんへと返ると、すぐに翔陽くんが飛び出した。
「!早い……?」
今までとは違う、明らかに早いタイミング。そして。
「─────…………!!!!」
左手はノートを握り締めて、右手は口元を思わず覆った。今のは……!
視線の向こうで飛雄くんと翔陽くんが喜び合っているのが見える。少し遅れて烏野メンバーが喜んでいると、木兎さんが驚いたように声を上げる。
「なんだ!?あの変な速攻復活か!?」
「……違います。今のは……初期にやってたあの速攻とは……別物ですよ」
それに、赤葦さんの返答が静かに響いた。赤葦さんの表情は、とんでもない事をやってくれた、と言わんばかりの驚愕と恐怖が入り混じったものだった。
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作者名:さくら | 作成日時:2020年6月10日 22時