【HQ】烏野の「姫烏」12(完結) (ページ20)

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東京合宿・day5 2 ページ20

そんなやり取りを間に挟んで、3対3形式の試合はまだまだ続く。何度目かの休憩の時に、黒尾さんが蛍くんとリエーフくんにアドバイスをしていた。

「あ、ちなみにスパイカーと1対1の時は基本的に相手の「身体の正面」じゃなく「利き腕の正面」でブロックするといいぞ」
「おおーっ」
「勉強になります！！」

瞳をきらきらと輝かせ聞くリエーフくんと私に対し、蛍くんは僅かに訝しげな様子で黒尾さんを見た。

「…………あの、一応僕ら試合になったら敵同士ですよね、どうしてアドバイスまでしてくれるんですか……？」
「ボクが親切なのはいつもの事です」
『………………』
「何もそんな目で見なくても」

蛍くんの言葉に黒尾さんがそう返すと、蛍くんと翔陽くんが何とも言えない表情で黒尾さんを見返していた。

「…………「ゴミ捨て場の決戦」ってやつをさ、何とか実現したいんだよね」
『！』
「ウチの監督の念願だし。けど監督はあとどんくらい現役で居られるかわかんねーしさ、それには烏野にも勝ち上がって来て貰わなきゃなんねえだろ。……まぁ俺の練習でもある訳だし、細かい事気にすんなっつーの」

黒尾さんの言葉に私を含めた烏野組が目を見張る。そうだ、ゴミ捨て場の決戦───烏野と音駒が懇意だった頃によく行われていた試合。再び縁が繋がった今、公式戦で絶対に私も観たいと思う。

「…………春高で。絶対実現させましょうね、ゴミ捨て場の決戦……絶対観たいです！」
「おうよ！全国の舞台で絶対やってやろうじゃねえか！」
「春高で！！」
「おおお燃えてきた…………！」
「…………」

私が僅かに興奮気味で黒尾さんに言うと、黒尾さんは不敵に笑った後やる気満々に返してくれた。それにそれぞれのテンションが上がる。蛍くんは黙っていたけれどきっと同じ気持ちの筈だ。

「おいおいおい～～梟谷も忘れて貰っちゃ困るぜ～？？」
「……こっちも、春高で顔を合わせるの楽しみにしてるんだけど」
「！勿論です……！春高では負けませんよ」
「おうよ！負けねえからな～」
「負けねえぞ！」
「うーっし試合再開だー！予選負けねえ為にも練習だ！」
「練習だー！」

烏野と音駒で盛り上がっていると、木兎さんと赤葦さんが呆れ気味な表情で話に加わったのに、勿論だとそれぞれが返す。
盛り上がって練習再開、お互い切磋琢磨して高め合うよき友人でありライバルというのはこういう事を言うんだろうな、と思わず笑みを漏らしながら私は再びマネ業に専念した。