【HQ】烏野の「姫烏」12(完結) (ページ18)

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東京合宿・day4 8 ページ18

「なーんで共有財産にしてやらないといけないのさ……！？」
「いやまあ、でもこっちの協力がなかったらそもそも写真も送られてこない訳ですし……今回は自分から連絡しないつもりなんですよね？」
「ぐっ」
「ま、そういう事で」

及川さんは随分悔しそうに言ったが、結局写真を送るのはこちらなのでそれ以上は何も言わなかった。よかった、俺一人だとあのまま一人でこそこそしないといけなくなる所だった……

「でも写真なあ……Aちゃんは今音駒だし、割と接点限られてくるよな」
「うーん、でも清水先輩にしても谷地さんにしても、写真撮る、ってなるとハードルは高い気がしますけど」
「見つからないように撮るのは更にタイミングがいるしな」

そこだ。確かにその点は問題だ。Aも谷地さんも清水先輩も、結局写真をこっそり撮るとなるとかなりハードルが高い。自分達のフォルダにも写真が入るとあって皆真剣な様子で策を練っていて、烏野、本当にチームワークがいいと思った。色んな意味で。

「いい案が浮かばねえな……」
「手分けしていいタイミングだなと思ったら撮るしかなさそうですね」
「それしかないか……」

結局いい案が浮かばず、それぞれのタイミングに任せるかと結論を出しかけたその時。

「……っていうか、普通に堂々と撮ったらいいんじゃないですか？合宿の記念写真とかそんな感じでなら何も疑われずに撮れると思うんですけど」

ずっと黙って呆れたようにこちらのやり取りを見ていた月島が、呆れた表情のままに呟いた。
それに全員が暫し固まった後────

『………………ああ！！そうか！！！！！！』

俺も含めて見事に全員でハモる。そうだその手があった！！！それなら盗撮ではないし自然だ、すんなり沢山の写真が撮れる……！

「いや、そうだそれだ……なんでこんな簡単な事に気付かなかったのか…………」
「なんか隠れて撮らないといけないみたいな縛りを感じてましたしね……」
「よしそれだそれで行こう。記念写真を撮ろう」
「めちゃくちゃ青春を謳歌してそうな写真を送ってやるからまあ待ってろ及川」
「お前らほんっとバカだしほんっと腹立つな……知ってたけど……」

口々に皆が月島の妙案に頷いて、流れ的にもこの作戦で決まったも同然だった。これ以上にいい案は恐らく出てこない。流石成績がいいだけある……腹立つ奴だが。

そしてどこか呆れたような、それでいて諦めたような及川さんの呟きが、妙案に騒ぐ烏野部屋にぽつりと響いたのだった。