【HQ】烏野の「姫烏」12(完結) (ページ12)

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東京合宿・day4 2 ページ12

「？そうなのか？珍しいな」
「その初日も私が寝落ちちゃってて結局話せてないしね。確かになんだかんだで3日間……久しぶりに喋ってない感じかも」
「……だからか……」

ここ数日連絡が取れていないと言うと飛雄くんは目を再び丸くした。と、そのまま何かを小さく呟くのに私は首を傾げる。

「ん？」
「ああいやなんでもねえ。Aからは連絡しねえのか？したら喜ぶんじゃねえか及川さん」
「んー………まあ気が向いたらかなあ」
「……そ、そうか」

飛雄くんの言葉に、恐らく喜ぶんだろうけど、それだとやっぱり慣れないままになっちゃうよね……と思うと気が向いたらと返す。それに何か言いにくそうに返事を返してくる飛雄くん。やっぱり何か他に言いたい事がありそうな感じがして問い掛けようと口を開きかけるが───

「あーっ！いたA！！洗濯物干すのに時間かかりすぎだろー！そんなに一杯あったなら手伝うからちゃんと言えよ！」
「！？リ、リエーフくん！？あ、ごめんちょっと飛雄くんと喋ってた……！」
「あっ、洗濯物が多すぎた訳じゃなかったんだ」
「なんだ、手伝いに来たのにいらなかった感じ？」
「芝山くんに犬岡くんまで！ごめんごめん、大丈夫！洗濯物はもう干し終わってるよ」

突然リエーフくんの声が響いてぎょっとしてしまう。続けて芝山くんと犬岡くんもやってきて、こちらも気にしてくれてたんだと慌てて謝ると3人はそれぞれ笑みを見せた。

「いーよいーよ、俺達のもの洗ってもらってるんだしな」
「洗濯物の山に囲まれてなくてよかった！黒尾さんがうちのマネはどこだー！って探してたから終わってるなら戻りますか」
「えっ？私に何か用事？」
「いや、多分用事はないと思う」
「ないの！？」
「黒尾さん、Aを隙あらば見てだらしない顔してるからな……」
「姿見えないと癒しがないって騒ぐんだよ」
「まあそれ黒尾さんだけじゃないけど」

黒尾さんが探してたと聞いて何か用事かと思いきや、なんだか癒しマスコット扱いになっているらしい。まあ、癒されないと言われるよりはいいのかなこの場合…………と微妙な気持ちになりながら私は飛雄くんへ視線を戻した。

「なんか探されてるらしいから戻るね。飛雄くんこの後も頑張って！」
「！お、おう……」
「よっしゃ戻るぞー！」
「わ！？ちょっとリエーフくん引っ張らないで……！」

飛雄くんに戻ると告げてひらひらと手を振ると、私はリエーフくんに引っ張られ音駒1年組と一緒に体育館へと戻った。