【HQ】烏野の「姫烏」12(完結) (ページ1)

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東京合宿・day3 1 ページ1

合宿3日目。コートでは烏野対梟谷と、生川対森然の試合が行われている。音駒は見学タイムなのでそれぞれが空きコートでレシーブ練やスパイク練に勤しんでいた。

私は烏野対梟谷の試合へと視線を向けている。今日も変わらず木兎さんの強烈なスパイクはキレッキレで決まっている。ボールが叩きつけられる音が凄くて思わずびくっとしてしまうぐらいだ。

「毎日側で見てるけど本当何回見ても怖いな……」

思わず厳しい視線と称賛の僅かな笑みを木兎さんへ向ける。烏野が全国へ行ったら戦うことになるかもしれない相手───あのスパイクを止める事は絶対的に必須になる。これも大きな烏野の課題だ、と思ったその瞬間。

「────！？」

木兎さんのスパイクを止める為に蛍くんがコートを蹴る。そのブロックは、昨日の夜の練習で黒尾さんに教えて貰っていた────

「！キル・ブロック……！」

スパイクを完全に殺す為のブロック。今までの蛍くんのブロックとは明らかに違う──打たせないという強い意志と圧を放っていた。
それに木兎さんは即座にフェイントへと切り替える。その瞬時の判断力に目を見張った。

「……木兎さん、今逃げましたね？」
「！！！逃げたんじゃねえ避けたんだ！！上手に避けたの！！！」
「油断……」
「ハイハイスミマセンでしたァー！」

梟谷メンバーから突っ込まれて木兎さんが怒りながら返す。あれで逃げたと言われるなんて恐ろしい、と思いながらまだ呆けていると、蛍くんと目が合う。
蛍くんは私が呆けているのに僅かに目を丸くした後、すぐに不敵に笑って見せた。

まるで、

「「その瞬間」の片鱗ぐらいは見えたんじゃないの？」

と言わんばかりに───

─────────

お昼も過ぎて、気温は更に上がっていく。温度計を見ると気温は34度。皆暑さでしんどくなっているのが目に見える。かくいう私もかなり暑くて大分へばり気味だ、慣れない合宿というのもあるけど、皆大丈夫かなと私は烏野の方へと視線を向けた。

現在の目の前の試合は烏野対音駒。この暑さの中でも集中力を切らしていない皆は凄い、相性の悪い音駒相手になんとか食らいついて、烏野はラリーを続けていた。と、龍之介先輩が上げたボールはネット付近での押し合いとなる。翔陽くんとリエーフくんの押し合いはリエーフくんに軍配が上がりボールは烏野側へと落ちた。

「くっそォ……！！」

目に見えて苛々している様子の翔陽くんに思わず目を見張る。あんな様子の翔陽くんは珍しい。