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27.あの日よりもっと ページ27

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部活のない私は休日は受験勉強だ。
なかなか集中力がなくて、近所の図書館で勉強していた。



「わっ……やばっ……着信音消すの忘れてた」



思い切り震えながら音をたてるスマホを拾い上げて
慌てて建物の外へ出た。



「え……貴大?日曜日なのに、何だろう……」



恐る恐る出ると、何だか怒っている様子だった。



「お前な!?今どこにいるんだよ?家か?」

「図書館だけど……どうかしたの?」

「どうかしたのじゃねーよ!お前一体誰と付き合ってるんだ?!」

「どういうこと?何の話?」

「もういい、そっち行くから待ってろ!」



20分後、貴大は本当に図書館までやって来た。
ジャージ姿で、部活帰りにそのまま来たみたいだ。



「彼氏出来たんだろ」



会うなりいきなり、貴大はそう言った。



「さっきもそんな感じのこと言ってたけど何のこと?そんなのいるわけないじゃん……」

「本当かよ?」

「本当だよ………だって……」


言うつもりのなかった言葉を飲み込もうとしたけど
いつもと様子の違う貴大を見たら
思いが零れてしまうよ。
だって、何でかわからないけど私に彼氏がいるって誤解してここまで来てくれたんでしょ?



「私、まだ貴大のことが好きだもん」



きっとそう言っても、貴大は重いだなんて感じない。
私を迎えに来てくれたんだと
自惚れてもいいでしょ?



「俺、いつも一番大事なことはAに言わせてるよな……」



そう呟いた貴大は、
公園での時よりも優しく、壊れ物を守るように。
そっと私を抱き締めてくれた。



「俺ともう一度……付き合ってほしい」

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(プロフ) - kirakirahikaru0さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!こういう言葉をいただけると、本当に書いてよかったと思います。こちらこそ読んで頂きありがとうございました。 (2019年8月1日 10時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 最高でした!!最後号泣でした。素敵な作品をありがとうございました。 (2019年8月1日 10時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ささ身さん» とても嬉しいコメントありがとうございます!私の文章で楽しんでいただけたなら光栄です!こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございました。 (2018年12月16日 1時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
ささ身(プロフ) - 本当に最高でした!!涙が止まらず……面白すぎて、一気読みしてしまいました。素晴らしい作品に出会えて良かったです!!ありがとうございました!! (2018年12月16日 0時) (レス) id: ee0a51c765 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - そうさん» ありがとうございます!切ない感じ、心に届いてたなら嬉しいです!また皆様に読んでいただける作品を書けるように頑張りますね。 (2018年10月21日 10時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月27日 22時

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