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25.二人の恋愛 ページ25

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2年の頃。
東北は、もうかなり寒くなってきた秋の真っ只中。
クラスでも仲良く話せるようになっていた貴大に告白した。
夏休みに入る頃にはもう既に、常に彼を目で追っていた。
なかなか言い出せなかったのは、同じクラスだということもある。
振られたら、気まずいなって。
強豪のバレー部の部員。
花巻くん、カッコイイよね。なんて言う女子もちらほらいた。


クラスで男子たちと駄弁っている貴大が
“クリスマスまでに彼女欲しい”なんて言ってる声を偶然耳にしてしまったもんだから
焦りもあったのかもしれないな。


色んなタイミングを見計らって
部活に行く前の、一人になったところを狙って話しかけた。



「お疲れ、花巻」

「おう!あ、坂口。あのバンドの新譜買った?」

「うん…アルバム特典の招待ライブ、応募したんだけど」

「マジで。当たったらラッキーだな!」



私は意を決して言った。



「当たったら、花巻一緒に行ってくれる?」

「え?俺が行っていいの?」


私は深く頷いた。


「マジ、俺かなり嬉しいんだけど」


少しは……脈があると思っていいの?
今しかきっとチャンスはない。



「花巻の……彼女になりたい」

「だよな?そういう意味だよな?」



彼は嬉しそうに笑った。



「俺買ってないけど知ってるもん、その招待ライブクリスマスイブだろ」


私の頭をぽんと撫でた。
何でもお見通し。
そんな余裕さすら、私は大好きだったの。


「よろしくな!」



招待ライブは当たらなかったけど。
クリスマスイブは一緒に過ごした。
付き合ってからも、沢山話をした。
友達から、それはそれはごく自然な流れで。
貴大は私にとって当たり前の存在になっていった。


もう一度付き合いたいなんて言うつもりはない。
もう悲しい思いはしたくないし
それだったら今のまま、友達のままで過ごしたい。
そう思っていたけど
これって、自分に言い聞かせてるだけなのかな?



いや…流石にまた付き合ってなんて言ったら重過ぎるでしょ。
何回告ってんのって感じだね…。

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(プロフ) - kirakirahikaru0さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!こういう言葉をいただけると、本当に書いてよかったと思います。こちらこそ読んで頂きありがとうございました。 (2019年8月1日 10時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 最高でした!!最後号泣でした。素敵な作品をありがとうございました。 (2019年8月1日 10時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ささ身さん» とても嬉しいコメントありがとうございます!私の文章で楽しんでいただけたなら光栄です!こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございました。 (2018年12月16日 1時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
ささ身(プロフ) - 本当に最高でした!!涙が止まらず……面白すぎて、一気読みしてしまいました。素晴らしい作品に出会えて良かったです!!ありがとうございました!! (2018年12月16日 0時) (レス) id: ee0a51c765 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - そうさん» ありがとうございます!切ない感じ、心に届いてたなら嬉しいです!また皆様に読んでいただける作品を書けるように頑張りますね。 (2018年10月21日 10時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月27日 22時

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