4話 ページ4
父さんの友人が住んでいる場所______妖怪横丁に、僕らは行く事になった
旅とは素晴らしいものだ
もう学校に行くことも、いじめられることもない
義務も責任も背負わなくて良い僕らの目の前には、何だか空っぽで自由な世界が広がっていた
あの日から永遠に続くと思っていた毎日が、パッタリと終わりを告げる
一日一日が柔く生まれて、一日一日が色濃くも死にゆく様は、眺めているだけでも心地良いものだ
たまたま立ち寄った村で、子供が一人、謎の病で亡くなった
僕らが来た日でもあり、父さんを見られたのもあり、僕らが災いを呼んだ、と石を投げつけられてしまった
別にそんな事はどうでもいいんだけど
それよりも僕は、その子供の死に様が、道端で腹を見せて生き絶えていた蛙に重なって仕方なかった
「今日も良い天気ですね」
ああ、本当に、世界はこんなにも素晴らしいものだったのだな。
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詩人気分で笑っていると、父さんが歓喜の声をあげた
よくよく前を見ると、そこには何人かが立っていた
なんだか、明らかに人間じゃない。
「おお、待っておったぞ!」
「え、え、ちょ」
兄さんと纏めて抱きしめられる
ううっ、力強いなこの婆さん
「砂かけ!わしの息子たちを絞め殺す気か!」
「ん?あぁ、すまんすまん。わしは砂かけばばあと呼ばれている。目玉のおやじから話は聞いとるぞ」
砂っぽい肌からやっと離してもらえ、僕らは慣習的に身なりを整えておいた
「さて、お前さんらにはこれからうんと働いてもらうぞ」
それから告げられる使命に、兄さんは意気込み、僕はため息を吐いた
なんで人間を助けなくちゃいけないんだ。いざとなったらミサイルをぶっ放すような野蛮な生き物だぞ
不満を持ちながらも、僕は兄に続き頷いておいた
ああ、本当に、世界はこんなにも窮屈なものだったのだな。
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作者名:ぬぽぽ | 作成日時:2018年9月17日 16時