【HQ】不清潔【男主】 (ページ23)

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23.菅原孝支side ページ23

あの日以来

俺は鷲見の顔を、目を

見ることが出来なってしまった

正直なんであんな事したんだろう

そう思ったけれど、心のどこかで

それに満足している自分がいる

だって、ずっと俺のこと考えてくれているんだろ？

鷲見に話しを持ちかけ、その時

1週間後に返事をくれ

そう、お願いした

けれどその日になった今日でも

話しかけてくれる気配なんて微塵もなくて

大地には少し悪いけど

嘘をついて

鷲見を追い詰めた

貴方｢ごめん、っ、なさ、い…っ…！｣

"ごめんなさい"

何度も、何度も何度も

そう繰り返し言う鷲見は

鷲見の表情は

ひどく怯えて、涙を流し続けていた

鷲見から詳しい事なんて何にも聞いていない

だから当っているかわ分からないけれど

鷲見は過去の記憶を俺と重ねている

だからきっと

鷲見は怖くて

泣きながら謝っているんだ

そう思った途端

急に流す涙に戸惑って

凄く申し訳なくなって

菅原｢…ごめん…何もしないから、謝らないで｣

今にも折れそうな細い手首から手を離し

白い頬を包む様にして

親指で涙をすくい取る

貴方｢ごめ…っ、なさい……っ｣

それでも涙と謝罪の言葉は流れ続け

どうすればいいのか分からなくなった時

ふと、身体が動いた

菅原｢鷲見は悪くない…俺が悪い、ごめんな｣

貴方｢！！｣

ふわりと香る、洗剤の匂い

頬に当たるサラサラとした髪

俺が抱き締めた途端大きく動いた薄い肩

すぐ跳ね返されると思ったその行為に

鷲見は受け入れてくれたのか

いや、逆らう事が出来なかったのか

何も反応しなかった

抱き締めながらゆっくり頭を撫でて

"鷲見は悪くない、俺が悪い、ごめんな"

この言葉を耳元で

何度も、小さな声で

鷲見にちゃんと届くように

ずっと繰り返していた

少しすると

菅原｢……ん？｣

自分にかかる重みが増えた気がして

静かに顔を覗くと

貴方｢………｣

菅原｢…寝た｣

いつも怯えている彼の

初めて見る幼い顔

長い睫毛

程よい血色の唇

綺麗な鼻筋

キメの細かい白い肌

菅原｢……っ！…｣

段々と早くなる胸の鼓動の原因は

きっとまた違うものだ

.

.

そう自分に言い聞かせてから

どうやって鷲見を家に運ぶか

その事を考えながら沈む夕日を見ていた