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20.澤村大地side ページ20

数日前、スガに見せられた雑誌の1ページ


澤村「な…っ、これって」

菅原「うん…」


そこには俺らの知らない

バレーに打ち込む鷲見の姿が写真に撮られ

大きく載っていた


驚きと衝撃を抱えたまま記事を読んでいくと

違和感を感じる文が多々あって


澤村「…明るい性格の鷲見選手はチームのムードメーカー…」


この文なんて今の鷲見からなんて想像も出来ない

でもそれよりもっと気になる事


どうしてこんなにもバレーの腕が立つのにバレーを辞めてしまったのか


…怪我…とか?

あと鷲見喘息持ちだって言ってたな

でも前はやってたんだろ?

なんでだ?


菅原「…勿体ない…」

澤村「え?…あ、あぁ…」


聞こえた呟きに右を向くと


菅原「……」


死んだような目のスガが居て


澤村「……」


何処かに怖さを感じて何も言えなくなった

その時


菅原「なぁ大地」


いつも通りの口調で


菅原「鷲見、バレー部入らないかな」

澤村「…えっ?」


いつも通りの安心する笑顔で


菅原「そしたらIHも春高も、より近くなると思わない?」


驚く提案をする

でも、鷲見には何か理由があって

バレーを続けていないんじゃないか

そう思う俺は


澤村「…そう、だな」


はっきりした返事なんて言えない


澤村「でも、入ってくれるのか?」


"入ってくれないと思う"

そう、遠回しに言ってみても


菅原「大丈夫、俺に任せてよ」


眩しい笑顔を返されるだけで


澤村「じゃあ…頼んだ」

菅原「おう!」


気付いてくれなかった

いや、違う

スガは俺が何を言いたいのか分かってる

だけど


気付かない振りなんだ









澤村「えっ?!本当か!?」

菅原「あ、ちょ、シー!!」

澤村「す、すまん…」


数学の授業中

鷲見を保健室まで届けて帰って来たスガの口から出た便りは

信じられないものだった


菅原「まだ決定じゃないと思うけど、少しは傾いたと思うよ、あともう一押しくらいあればいいんだけどなぁ〜」


そういうスガの顔は

満足そうな

悪戯っ子の様な

可愛げのある悪魔のようだった









授業が終わったと同時に後ろの扉が開き


貴方「……」


酷くやつれた鷲見が入って来て


澤村「…」


ドクン、と鼓動が鳴る


でも、鷲見が保健室に行く理由を作ったのは

間違いなく俺が

"音駒の黒尾"

という単語を出したからであって

スガと2人きりにする時間を作ってしまったから


貴方「…っ…」


お前はそんな辛そうな顔をしているんだろう?

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作者名:塩味 | 作成日時:2016年2月22日 19時

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