検索窓
今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:38,221 hit

16. ページ16

ガラガラと教室の扉を開け

1歩中へ入ると


「「……」」


静まる空気


久しぶりだな、この感じ


でもそれは仕方ないだろうと俺は思っていて

この間まで真っ黒だった髪色が


菅原「……」


目の前で目をぱちくりさせる

こいつの髪色の様になっているのだから


驚いた顔をした後

菅原は歯を見せて笑い


菅原「似合うじゃん」


なんて、ナンパみたいな言葉をかけて来た

少し気恥ずかしくて


貴方「…どーも」


短く返事をして席に座る

すると


菅原「なんか今の月島っぽい」

貴方「…はい?」


部活の後輩なの

そう言って無邪気に笑う


澤村「そうだ」

菅原「どしたの?」


思い出した様に目を大きくした澤村くんが話しかけたのは


澤村「なぁ鷲見」


意外にも俺で

なに?と短く返す

この時に気が付いて走って逃げれば良かったのに





澤村「音駒の黒尾って奴知ってる?」


自分の首が強く

強く締められるような感覚


貴方「…え…?」


どうしてお前からその名前が出てくるんだ

どうしてどうしてどうして?



どうしよう

凄く、怖い



少しずつ荒くなる息

暑くもないのに湧き出してくる汗

寒くもないのに震える身体


ぼやける視界



恐怖心が俺の思考を制圧して

何も考えられない

どうしてそんな事聞くの?

口に出そうとした時


菅原「顔色悪い、はい保健室〜」


俺の手

ではなく裾を掴み、大地行ってくるね

そう告げた菅原は

戸惑う俺なんてお構い無しに進んでいく


でも頭の中は

混乱と戸惑いと、恐怖でいっぱいいっぱいで


どうして菅原が俺の手ではなく裾を掴んだのか

なんて気が回るはずも無く

震えて、力の入らない身体を無理矢理に動かして

ただ引っ張られるままに歩く


ノックをして、扉を開けるとそこには養護教諭の代わりに置き手紙が居て

何かあったら職員室まで来い

こう書かれていた


雑だなぁ…、と小さく呟いた彼は俺に


菅原「とりあえず…ベット…は駄目か、ん〜…どこなら大丈夫?」

貴方「…は…?」


当然の事のように

流れるかのように耳に届いた質問

でもそれは

俺の事を知っている人じゃないと

出来ない質問のはずで

何も知らないはずのこいつは


出来ない


はずなのに



菅原「ん?どした?」


張り付いたような

こびりついた様な笑顔



俺は忘れられない







.






.






こんなに恐ろしい笑顔は初めてだ

17.→←15.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
61人がお気に入り
設定タグ:HQ , 菅原孝支 , 赤葦京治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:塩味 | 作成日時:2016年2月22日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。