【HQ】不清潔【男主】 (ページ12)

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12.黒尾鉄郎side ページ12

俺達音駒の因縁の相手

鳥野高校

黒尾｢…｣

駅に行くまでのバス

何もする事が無い、一番暇な時間

周りからはスースーと寝息が聞こえ

笑みがこぼれる

黒尾｢…A…｣

弧爪｢また言ってる｣

隣に座る研磨は呆れた様に言った後

いつも必ず切ない顔をする

黒尾｢しょーがないだろ…何もかも分からないままなんだから…｣

寝るから黙って

寝る体勢に入る研磨は顔を隠す

涙が滲み出てくるから

暇になればなる程

静かになればなる程

1人になればなる程

要らない事を考えて嘆く

何処に居る？

どうして居ない？

どうして何も言わない？

どうして誰にも

木兎にも言わない？

どうして

黒尾｢…俺は…？｣

もう、止めだ

こんな事考えたって無駄なんだ

それよりも9番、10番の速攻…

窓の外を眺めながら

今日の3試合を振り返る

バスが赤信号で止まり人がぞろぞろと横断していく

近くには駅が見えていて

ここら辺は栄えてんだな、なんて思ったり

黒尾｢………あ？｣

時間が止まったかのように

全ての思考が停止する

右から歩いて来た長身の男

文字通り一瞬だった

けれども

目が合った

そして目が合ったそいつは

合同練習の度に喋って練習して

駅で会っては一緒に帰って

お気に入りだと言っていたリュックを背負って

目が合った瞬間

目を見開いて何かを呟いた

髪色も髪型も纏う雰囲気も

表情も

何もかもが違う

けれど今のは

絶対に

黒尾｢Aだ｣

.

.

.

みーつけた