精神年齢11歳。3.【赤葦京治】

▽未熟 ページ8

先生｢あ、Aさんならさっき早退したわよ｣


赤葦｢……は？｣






クラスの人から貰った噂を頼りに保健室に駆け込むと、
先生はいつも通りの緩い口調でそう俺に伝えた。





赤葦｢あの……体調不良とか、ですか｣

先生｢何か一緒に住んでる従兄弟も風邪ひいてるから、もしかしたらうつったーみたいな事は言ってたけど｣





……夜久さんの事だ。




赤葦｢……何時くらいに帰ったか分かります？｣

先生｢ついさっき先生が家まで送っていったよ。｣



何せフラフラだったからね。危なっかしくて、本人が大丈夫だって言い張っても家まで送ってやったよ、とちょっと笑いながら先生は言った。



それなら、今日は会えない、ってことか。




……いや、今日空気を取り戻さなければいつ取り戻すんだ。
部活終わったら駅前のケーキ屋さんで食べたかったって言ってたケーキ買って御見舞にでも行―――









先生｢Aさんって、案外恥ずかしがり屋なんだよね｣

赤葦｢え…………？｣

先生｢あら、知らなかったの？｣




先生が発した意外な言葉に、俺は唖然とさせられた。
自分が知らないAを先生が知ってる事にはちょっと苛立ったけど。






先生｢ふふ。あ、でも家に従兄弟の男友達が来ても何にも思わないってか恋愛対象としては見てないらしいけど｣

赤葦｢―っ、何故それを…｣

先生｢本人から聞いたわよ。ギクシャクしてるらしいね｣



先生は笑いながらそう言った。

……何でもお見通しなのか。









先生｢大丈夫。貴方なら｣

赤葦｢―！｣

先生｢放課後行っておいで。きっと待ってるから｣

赤葦｢…ありがとうございます！｣






先生は、Aを車で送ってる時にAから聞いたらしい。
待っててね。A。

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