精神年齢11歳。3.【赤葦京治】

▽すれ違い ページ43

電車が来るまでしばらく時間があいていて、
その間に少し私達は話をした。



彼曰く、
『明日東京で試合があるので、前日の今日から向かってたんですけど、
気がついたら電車の中で寝てて、起きたら先輩いないし、
アナウンス聞いてもどこだか全然分からないし……
何で起こしてくれなかったんでしょうね？』

と。

さっきSNSでの会話でも、
『何で起こしてくれなかったんですか！！』
と送信していたけど、
『起こしたけど起きなかったから』
と何だか冷たい一言だけ送られてきていたのを見た。


？？「あ、あの…えっと〜……」

A「うん？」

？？「…あ、あなたはまだ学生ですよね！？どうしてこの時間にココにいるんですか？」

A「へ」




あなた、なんて他人行儀のような呼ばれ方をされて、素っ頓狂な声が出た。
歳が近いと思ったからか、私は勝手に親近感を湧いていたらしい。


A「うん、まだ高校二年生。丁度病院の帰りだったの」

？？「高校二年生！てことは先輩だ！！って…どこか悪いんですか？」

A「ううん、ただの風邪」

？？「風邪！？か、風邪ひいてるのに俺なんかの為に体力も時間も使わせちゃって……ゴメンナサイ！！」

A「ううん、いいのいいの！」


『先輩だ！！』という発言をしたから、彼は多分高校一年生なのだろう。


A「私、Aっていいます。よろしくね」

？？「あっ、俺、五色工っていいます！よろしくおねがいしゃす！！」


またもや挨拶と同時に大きな身体を勢いよく曲げ、勢いよく体制を戻す。
凄く元気な子だなあ、私も高校一年生の時、こんなに元気だったっけ。


A「五色くんね」



そう名前を呼ぶと、大きな目でこちらを見てから笑った。
後ろに犬のようなしっぽが見えた気がした。

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