▼ ページ35
皆んなの自主練も終わり、部室で佐久早と二人、動画を見る。
なんで私も付き合わされてるんだ、って最初思ったけど、それがバレたのか、
佐久早から多面的に物事は見るべきだ、と言われてからは毎回だ。
佐久早の慎重さは本当に誰よりもエグいと思う。
「ここ、今日上手くいかなかった」
佐久早がそう言ったところを繰り返し再生する。
『もういい?』
五回ほど再生したし、佐久早は無言だし。
「で?何がわかった」
佐久早は二人の時いつもこうだ。何故か私にいつも聞いてくる。まるで私を試すかのように。マネージャーとして、必要かどうか。
『そうだなぁ、トスのタイミングか、助走に入るタイミングを変えたらいいと思った。スパイク打つ時に最高到達点までいかないうちにボールに触れてるから』
「ふーん」
私が答えると、佐久早は殆どふーんって言う。
違う時は訂正をしてくるけど、しない時は合ってる時らしい。
最近わかったのは、私が当てると少しだけ口角が上がること。なんだか少しは認められたんだなって思えて嬉しくなる瞬間だ。
「いいや、もう。じゃあ着替えるから」
動画を何度か見て、多分スマホのメモかなんかに書き込んだ佐久早が言う。
『了解、ならiPad顧問に返すね』
そう言って部室を後にする。体育館の施錠を確認して顧問にiPadを預けた。
よし、私も帰ろうっと。
鼻歌を歌いたくなるような軽やかな足取りで校門まで向かう。そこには佐久早がいた。
『お、佐久早。お疲れ様ー』
手を上げて挨拶して、帰路へ進もうとした。
いきなりグイッと後ろは引っ張られる。
振り向くと、うん、佐久早だよね。
『何か確認?どうしたー?』
すると、どうだろう。佐久早にすっぽりと包まれた。包まれた?
『え、本当に驚いてるんだけど、何?!』
「春高終わったら、引退だろ』
『まぁ、そうだねぇ』
「だから、もうそろそろいいだろ、俺はここまで我慢した」
そう言うと、次は腕を掴まれて引っ張られる。とっさのことに驚いて取り敢えずついていってしまった先は、公園だった。
そこ座ってて、と言われてベンチに腰掛ける。
すると、ちょっと経ったら佐久早がレモンティーを買って、私に渡してきた。
『おー、これ好きなの!ありがとう、後でお金返すね』
「知ってる。別にいい」
『知ってるの?!』
「Aさん、体育館で好きだって言ってたから」
聞いててくれたんだな。なんだか嬉しいし照れる。
51人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
...syokatsu...(プロフ) - のりまきさん» そう言って頂けると嬉しいです!ありがとうございます!! (2020年5月25日 15時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
のりまき - 初めまして!白布くん読ませて頂きました。とんでもなくキュンキュンしました作者さん天才です!!!これからも応援しています! (2020年5月25日 2時) (レス) id: a2e04f6f11 (このIDを非表示/違反報告)
...syokatsu...(プロフ) - 美穂さん» そう言って頂けると嬉しいです。これからもっと上手く書けるように精進していきます!本当に今回はありがとうございました(^-^) (2020年5月1日 22時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 大地さんの見ました。キュンキュンしました!ありがとうございます! (2020年5月1日 20時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - ...syokatsu...さん» ありがとうございます! (2020年4月30日 15時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:...syokatsu... | 作成日時:2020年3月5日 13時