検索窓
今日:25 hit、昨日:11 hit、合計:55,226 hit

牛島若利 ページ22

『若利、別れよう。

今日だから正直に言うけどさー、私は全国区のスパイカーっていうブランドに惹かれて彼女になりたかっただけなんだよねー。大学に行ったらそれなりに出会いもあるし?

そういうことで。今まで付き合ってくれてありがとうね、プロでも頑張って』

桜の花びらが舞い落ちる三月。私は白鳥沢の卒業式の日、若利をこっ酷く振って、白鳥沢を去った。









最低だと思う。あの瞬間をきっと男バレは見ていただろう。私の印象は地に落ちたはずだ。

言い訳なんてしないけど、私は本当に若利が好きだった。

バレー馬鹿なところも、天然なところも。芯があってブレないところも。

目標が明確で、努力を惜しまない若利は私の憧れだった。

2年で若利と偶々隣の席になって、少しずつ部活の話とかするようになって。それで若利がバレー以外に無頓着なところにつけ込んだ。

若利はモテた。そりゃあ全国区のプレイヤーがモテないわけがない。加えてあの容姿端麗で、キャプテンで、頭脳明晰ときた。バレンタインなんか貢がれていたし。

若利はバレーが恋人って思われがちだけど、そうではなかった。二人ほど元カノがいたし、その二人にはバレーじゃなくて偶には彼女を優先してよって言われて振られたらしい。

女は面倒だと言っていた。けど、彼女がいないとなるとそれも言い寄られるから面倒なようで。

私はそこにつけ込んだ。自分はそんなこと言わないし、自分も部活に精一杯だから他の女よりは分かり合えるって。そして彼女の座を頂いた。

好きだとは伝えなかった。お互いに利害一致の為に交際を始めた。だけど、名目上の彼女の私に、若利は優しかった。

私が部活で自主練を遅くまでした時は、家まで送ってくれた。いらないって言ったけど、帰りにロードワークできるから気にするなと言ってくれた。

それなりに行事があればツーショットも撮ってくれたし、バレンタインのお返しもくれた。

男バレのオフはお正月くらいなものだから、デートなんてしたことはなかったけれど、試合を見に行くこともあったし、部活が少し早く終わったときには、夕方ごろの私の試合を見にきてくれたりもした。

それなりに上手くやってきたと思う。でも、わかってる。

若利は私のことを好きでも嫌いでもない。強いて言えば彼女だからという義務感。別に問題がなかったから別れることもなくここまできたって感じだと。

▼→←▼



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
51人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , HQ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

...syokatsu...(プロフ) - のりまきさん» そう言って頂けると嬉しいです!ありがとうございます!! (2020年5月25日 15時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
のりまき - 初めまして!白布くん読ませて頂きました。とんでもなくキュンキュンしました作者さん天才です!!!これからも応援しています! (2020年5月25日 2時) (レス) id: a2e04f6f11 (このIDを非表示/違反報告)
...syokatsu...(プロフ) - 美穂さん» そう言って頂けると嬉しいです。これからもっと上手く書けるように精進していきます!本当に今回はありがとうございました(^-^) (2020年5月1日 22時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 大地さんの見ました。キュンキュンしました!ありがとうございます! (2020年5月1日 20時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - ...syokatsu...さん» ありがとうございます! (2020年4月30日 15時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:...syokatsu... | 作成日時:2020年3月5日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。