【HQ】優しさに触れる【短編集】

黒尾鉄朗 ページ48

クロ今日終わるの何時?A22時に一次会?終わるらしい!クロ了解、飲みすぎんなよー笑

大学２年になって、20歳になり、お酒が解禁になったので、サークルのメンバーでの飲み会に参加する。

昼休みに来た鉄朗からのLINEは嬉しい。こうやって時間を聞いてくる時は、かなりの確率で迎えに来てくれる。

鉄朗のバイトが長引いたり、シフトが被っていなければ絶対にだ。

「またニヤニヤして。本当アンタ彼氏好きよねー」

高校からの友達が呆れたように言う。

『だって甘やかしてくれるんだよ？やばくない？』

一つ下の彼氏の鉄朗とは、昨年コンビニでバイトをしていた私と、部活帰りによく寄ることで顔見知りになったのが出会いだ。

今は都内の同じ大学になって、鉄朗のバレーを見に行くのも容易くなったし最高としか言いようがない。

「ほら、飲み会行くよー、私も彼氏探そうっと」









「じゃあそろそろここ出ようぜー！」

飲み会も終盤。キャプテンの声かけでゾロゾロと店を出る。

「お前らー、今からは二次会だー！」

おー！と顔を赤くして盛り上がる男子たち。

あれはもう完全に酔っ払ってるでしょ。

「Aさん」

私が店を出た時に聞こえた声で、周りが一気に鎮まる。

『鉄朗！来てくれたの！』

「今日は練習だけだったからな。間に合ってよかった」

鉄朗に思わず抱きついた。私もちょっとは酔ってるのかな。

でも勢いつけて飛び込んでもしっかり抱きとめてくれる。頼もしい。

「あー、お邪魔してすみません。彼氏です。Aさん連れて帰りますね」

愛想よくサークルの人たちに声をかける鉄朗。まぁ愛想いいって言っても否とは言わせない言い方だけど。

「ほら、帰るぞ」

そう言われたので抱きつくのをやめたら、手を繋いでくれた。

ゆっくり歩き出す。いつも歩幅を合わせてくれるし、車道側はさり気なく歩かせないでくれるし。

「今日は珍しく酔ってるんだな」

『えー、そんな酔ってないよー』

ちゃんと理性はある。でもいつもよりは飲んだかな。

だって１年が鉄朗のことかっこいいとか合コン誘ってとか２年に頼んでたんだもん。

「声漏れてんぞー」

『やっぱ酔ってるかも』

「やきもち焼いて飲み過ぎたとかAさん可愛い」

鉄朗はどんな時も可愛い可愛いって言ってくれる。

甘えるのが苦手な私だけど、鉄朗と付き合ってからは甘やかされっぱなしだ。

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