【及川】あ、彼女いるんですね。

25話 ページ27

「…部屋も綺麗だし、こういうところは女だな」



…なんだ、こいつ。はらたつ。


『失礼な、こういうところだけじゃなく普通に女ですけど！？』



「…知ってる。おれが一番、ずっとお前を近くで見てきたから。」


そう言って近づいてくる飛雄。


『ぇ、いや、ちょっ、飛雄さん？』




肩をドンッと押され、床に倒される。




『ちょっ…いった、なにするn…！』




顔を上げると、飛雄の顔があった。


これって…押し倒されてる？




「こういう、力がよえーとこも、」




『…飛雄、どいて』





飛雄の肩を押して、どかそうとするけど、

びくともしない。




「体格も、」




『きゃっ、飛雄！』



ギュッと抱きしめてくる飛雄。


いつもの、いつものハグじゃなくて、

とても、力強い。ちょっと苦しいくらい。


そして、耳元に顔を近づけられ、



「ずっと前から、Aのこと、女として見てる。」



『…っ』



「好きだ、A」



『っ！』



「ずっと、すきだった。」



そういう飛雄の声は、震えていた。




『…飛雄。』




『…ごめん』




知ってしまった飛雄の気持ち。


なんて言ったらいいのか分からない。



私は、及川先輩のことが好き。



だけど、飛雄のことも好き。


でもそれは、恋愛でなくて、幼なじみとして。




飛雄は私のとても大切な人。傷つけたくない。





だからぜったい、同情なんかで、付き合ったらだめだ。





『…私は、及川先輩が好きなの。叶わないって分かってても、好きなの。だから、ごめn…』




「あやまるな、ぼけ。今は、黙って抱きしめさせろ。」




『ありがと、飛雄。』




私のことを好きになってくれて、




小さいときからずっとそばにいてくれて、




私のこといつも心配してくれて、






『ほんとに、ありがとう。』

26話→←24話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す