23 プレゼント再び ページ25
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A、A。
ゆさゆさ体を揺さぶられて目が覚める。
ハッと目を開けて体を起こせば、いつの間に帰って来たのか、一松さんたちが至近距離で私を見詰めていた。
「…お、お帰りなさい…」
そのあまりの顔の近さに上擦った声で挨拶しつつ、「買い出し、ありがとうございます」と二人から離れて礼を言う。
カラ松さんはそんな私を見て、「やっぱり照れてるんだな…」とワケの分からんことをボソボソ呟いた。
サングラスを掛け直すと、フッと前髪を掻き上げる。
「よお、ずいぶんぐっすり寝てたな子猫ちゃん。夢の中で、俺とイケないコトでもしてたのか?」
「…メシ出来てるから。冷めないうちに早く食べて」
「え!作ってくれたんですか!?」
サングラスを取り上げてバキリと握りつぶす一松さんの言葉に勢いよく立ち上がる。
何から何までしてもらいっぱなしだな、と苦笑しながらテーブルに着いて、私は目を丸くした。
「…どうしたA。苦手なものでもあったか?」
テーブルを挟んで向かいの席に腰を下ろすカラ松さんが、少し心配そうに私の顔を覗き込む。
「…まあ、苦手だろうとコレしかないし。無理やり食べさせるだけなんだけど」
ニヤッと笑う一松さんから視線を落とし、机の上に並ぶ美味しそうなご飯を見つめる。
ほかほかと湯気を立てて置かれているのは、たっぷりのレバニラ。
白米と卵スープの横で強烈な存在感を放つそれは、確実に鉄分たっぷりの食物で。
「……」
気付かれてる。
そう思うと、少し恥ずかしいような、その気づかいが嬉しいような。
「い、いただきます!」
「うん、どうぞ」
少しにやつく口元を抑えるように手を合わせ、箸を握る。
モグモグ食べていると、一松さんが箸を止めたままジーっと私を見つめている。
「おいしいです」と素直に感想を口にすれば、二人は嬉しそうに頬を緩めた。
私もじんわりと心が温かくなって、ほんとはすごく優しい人たちなんだな、と一人思い直す。
「あっそうだ!A、お前にプレゼントがあるんだ」
「えっ?な、なんで?」
「安心していいよ。この前みたいにアダルトなモノじゃないから」
ニヤリ、と愉快そうに笑う一松さんに礼を言いつつ、手渡されたそれに目を落とし、私はぴしっと体を固めた。
「……」
「お気に召さないか?もしかして敏感肌?それともタンポブベラッ!!」
カラ松さんの顔面めがけ、思い切りプレゼントを投げつけた。
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スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです!作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです!待っています! (2020年6月2日 18時) (レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜! (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます!こじらせクズがとても好きなんです〜!楽しんでもらえてとても嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(キリッさん» コメント有難う御座います^^年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモ | 作成日時:2015年12月15日 21時