21 少女漫画には慣れてない ページ23
何だ、何なんだこの状況は。
左手は一松さんに、右手はカラ松さんに握られてソファで三人密着しているこの状況に、性にも合わずドキドキと胸が高鳴る。
「今日はご両親居ないのか？」
「あ、はい…丁度旅行に出かけてて」
「ふーん。じゃあ後で買い出し行かなきゃね」
きょろきょろとリビングを見回して問い掛けて来るカラ松さんに頷くと、一松さんがポツリと呟いた。
何で買い出し？と意味が分からなくて首を傾げる。
「夕飯の買い出し。体が辛いんじゃ、メシ作るのも億劫でしょ」
「え、いやそんな！悪いです！」
「いいよ、俺たちがしたいんだから。そうさせて」
「……」
ぎゅっと力の込められる左手。一松さんから威圧的な、それでいて愛おしげな瞳を向けられて、私は何も言えなくなる。
この二人、何で今日に限ってこんなに優しいんだ。
なにか企んでるんじゃなかろうか…と心配になって隣のカラ松さんをちらりと見やる。
カラ松さんは私の視線に気付くと、「ん？」と頬を緩めて優しく目尻を和らげた。
「……て、テレビでも点けませんか！？おヒマでしょう！？」
「え？……気にするな。体調悪いんだから大人しくしとけばいい」
そう言って、空いた片方の手でぽんぽんと私の頭を撫でて来る。
その妙に優しい手つきと微笑みに、じわじわと熱を持ち出す頬。
「…何か顔赤くない？風邪悪化した？」
「ハヒェッ！？そそそうですか！？あ、アレかな〜！暖房が効きすぎてんのかな〜！」
「……汗の量もハンパないけど」
「これはもう完全に暖房のせいですね！！うん、暖房です！！消そう！！！」
一人でうんうん頷きながら、ばっと繋いでいた手を離し、リモコンを手に取って暖房を切る。
怪訝そうに私を見る二人から視線を逸らして、額ににじむ汗を拭う私。いたたまれなくなってガバッとソファから腰を上げる。
冷静になろうと寒空の広がる窓を開ければ、がしっと肩を掴まれた。
「A、お前さっきからほんとにおかしいぞ」
「……」
眉を寄せるカラ松さんに、おかしいのはお前らの方だ！！と心の中で吠える。
「やっぱ熱でも出てんじゃないの」
「！！」
心配そうに私を見詰め、一松さんがこつんと私のおでこに額をくっつけた。
至近距離にある眠たげな瞳に、ぐわっと体温が上昇する。
「うわアツっ。ヤバいんじゃないのコレ」
「どれどれ、俺も」
「……！……！！」
頼むから元のド変態に戻ってくれと願った。
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スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです！作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです！待っています！ (2020年6月2日 18時) (
レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます！こじらせクズがとても好きなんです〜！楽しんでもらえてとても嬉しいです！ (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(ｷﾘｯさん» コメント有難う御座います＾＾年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです！ (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです！ (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨモ | 作成日時：2015年12月15日 21時
