検索窓
今日:5 hit、昨日:22 hit、合計:715,726 hit

10 どっかの長男に激似 ページ12

「出てけクソ変態共!!!」



母親の誤解を必死に解く姿を一松とボケーッと見ていると、ふいにギロリと睨んで蹴り飛ばすように俺たちを家から追い出すA。

凄い剣幕で怒鳴り声をあげる彼女は、どうやら完全におかんむりというヤツらしい。


やっぱり体に触れたのが悪かったか。
紳士な俺としたことが早まってしまった。



「…あ”〜、やっぱイイなァ。うん、すげえイイ。最高だよアンタ」



しゅんとして反省する俺のとなり、一松は目を血走らせながら、先ほどまでの様子と全く違うAにハァハァ息を荒げている。


フッ、一松…。流石の俺でも、ちょっと引くぜ。



「やっぱ俺の目に狂いはなかったんだ…。フヒ、おいA、もっと言えよ…俺がクソで変態で、どうしようもないゴミだって…」



どこから取り出したのか、いつかの麻縄を握り締めて上気する一松に、嫌そうな表情を浮かべるA。

それから諦めたように溜め息を吐くと、寝起きでぼさぼさの頭をがしがしと掻いた。



「…もう良いですけど、今度ウチに一歩でも入ってきたら警察呼びますから」



聞いたこともない低いトーン。
一松から麻縄を取り上げると、べしっと力いっぱい地面に叩きつけて俺たちに背を向ける。

その姿を食い入るように見つめていた我が弟が、となりで感嘆の息をもらした。



「ハァ、すげえよかった…お前もそう思うだろ?」

「ああ。あの勝ち気な態度、今すぐぐちゃぐちゃにしてやりたいな…」



そしてその後にドロドロに甘やかして、俺だけを見るように仕向けてやるのだ。

そうしたら、どれだけ気持ちの良いことだろう。



「クソ松のくせに良い趣味持ってんじゃねえか」

「フッ……飴とムチは使いようってな」



ニヤリと顔を見合わせて笑っていると、ガチャリと音を立てる玄関。
帰ったはずのAが、ドアの隙間からそろりと顔を覗かせた。


靴のかかとを踏んで家から出ると、そのまま無言でズンズン俺たちに向かってくる。

殴られる!と思い身を固めた刹那、がっしりとわし掴みにされる尻。



「えっ、あ、A!?」



こんな路上で、大胆過ぎる!
突然の行動に慌てれば、ポケットから何かを抜き取られる感覚がした。



「……?」



何だろうと疑問に思ってAを見る。
その手にはしっかりと俺の財布が握られていた。



「うふふ、倍にして返しますから」



そのまま一松の財布も抜き取ると、「パチンコ勝つぞ〜!」と再び家に入っていった。



.

11 健全な遊び→←09 グッドタイミング



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1159 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1562人がお気に入り
設定タグ:おそ松さん , カラ松 , 一松   
作品ジャンル:ラブコメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです!作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです!待っています! (2020年6月2日 18時) (レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜! (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます!こじらせクズがとても好きなんです〜!楽しんでもらえてとても嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(キリッさん» コメント有難う御座います^^年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ヨモ | 作成日時:2015年12月15日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。