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08、しわくちゃだけど。 ページ8

人気のない廊下に戻ると英単語帳を読んでいた菅原と目があった。


「おかえり」

「ただいま、取り戻せたよ」

「おー、よかったな」



菅原は英単語帳をカバンのなかにしまった。
さっきと同じように肩を並べて座る。




「その、ありがとう」

「おう! ってかくしゃくしゃだな」

「そうなんだよね」




くしゃくしゃになってしまった夢を、
破れてしまわないように少しずつ開いていく。

B5のルーズリーフ小さく書かれた夢と、
昨日完成したばかりの落書きは、

やっぱりシワだらけになってしまっていた。





「え、これ古典のときに描いてたやつ?」

「うん」

「なんか俺が捨てられると思うと複雑だな」

「ごめんごめん! 捨てないって!」

「冗談冗談。やっぱ上手いし描き続けなよ、
夢の叶え方は何通りだってあるだろ」

「うん」




菅原の言う通りだ。

夢は1つでも辿り着くまでの道は一本ではなく
追いかける人の数だけある。


ちらっと隣を見ると菅原が絵と同じように笑っていた。





やっぱり捨てなくてよかった。

心からそう思った。

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作者名:おと〜ふ。 | 作成日時:2019年6月13日 23時

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