八重島さんの夏休み【白鳥沢】 (ページ7)

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四十七重島さんページ7

詳しいことはLineで話そー！と言い残して
天童くんたちは体育館に戻っていった。

リュックを背負って、厨房に向かって叫ぶ。

「八重島、上がります。失礼しまーす！」

「お疲れさまー！」

「ちゃんと休むのよー」

出る前にもう一回「失礼しまーす」と叫んで食堂のドアを閉めた。

さて、と。

「あー、帰るのだるいなぁ」

ここから門まではそこそこ距離がある。

本当はすぐにでも自転車に乗りたいんだけど、さすがに校内で乗るわけにもいかないし、

とぼとぼ歩いて門を目指す。

しかし、ここは本当に広い。

今はだいぶ慣れたけど、最初の方とか毎日迷子だったし。

しかも普段なら裏門も開いてるけど、今週はお盆なので正門しか開いてない。

周りの景色をぼんやり眺めながら歩いていると芝生が目に留まった。

「八重島さーん！！」

「あ、朝の……」

「木村です！来てくれたんですか？！」

栗色の馬に乗ったままぶんぶん手を振ってるけど、落ちないのだろうか。

ていうか、普通に危ない。

「あー、ちょうど今帰りで」

「せっかくだし、乗ってってください！」

＿＿＿＿＿

＿＿＿

＿

サーッと風が吹き抜けた気がした。

「わ、すご………」

「そうなんですよ！全然違って見えますよね！」

木村さんの言葉にうんうんとうなずく。

さっきまでいた食堂が
だるいだるいと嘆いていた道が

一直線にスパっと並んでいた。

「あ、馬のお腹を左足でかるーくポンとしてください」

言われた通りに軽くポンとすると、馬がパカパカと芝生を歩いて1周した。

「すごいね！！」

「マジで可愛いくないですか？！」

「うん！」

.

次の日、筋肉痛で悲鳴をあげるのは、また別のお話である。