四十一重島さん ページ1
瀬見side
コンコンとノックをすると中から「はーい」と明るい返事が聞こえた。
救護室の扉を引くと ギギッ…と軋んだ音をたてる。
「どうしたの?怪我?」
「いや、知り合いが倒れたって聞いて」
「あぁ、ベッドで寝てる寝てる」
おいでおいでと手招きされてカーテンの奥へ。
そこには規則正しい寝息をたてたAさんがいた。
「わたし的には熱中症じゃなくて、
過労だと思うんだけどねぇ。
この子、食堂で見たの最近だし
寮がないときもバイトやってたみたいだし」
言われてみればめちゃくちゃバイトしてんな。
食堂でずっと見てたし、合宿でも会ったし
休んでなかったんだろうなぁ
「さっきまで天童くんと牛島くんがきてたのよ。
若いっていいわねぇ」
Aさんをみて微笑んだ寮母さん。
・
〜♪
寮母さんの携帯が鳴った。
「ごめんちょっと見ててくれない?」
「あ、はい」
「もしもし〜」
カーテンの外に出た寮母さんの声は少しずつ遠くなっていき、聞こえなくなった。
残されたのは 俺と Aさんだけ。
いつもならうるさいセミの声も、
突き刺さるような夏の日差しさえも、
今は少しだけ遠く感じる。
「Aさん」
返ってくるのは すーすーという寝息だけ。
なんとなく名前を呼んだけど気まずくなったので、近くにあった椅子に座った。
腕を伸ばして髪に触れる。
そのまま流れるように手を滑らしていくと、
俺の手が冷たいせいか、Aさんの頬は熱く感じられた。
“少しだけ熱を奪えたら” という願いを込めて手を握る。
そっと包んだ左手は思っていたよりもずっと小さい。
……こんなに小さい手でいつも作ってんのか。
寝ているAさんには届かないと知ってるけど、言わずにはいられない。
「Aさん、みんな貴方を心配してます
いつも笑顔の、Aさんが大好きなんです
だから早く、元気になってください」
なんとなく手をにぎにぎしていると、廊下から「瀬見さ〜ん」と俺を探す声が聞こえてきた。
ここにいることを気づかれないように息を殺す。
もう少しだけこのままでいさせてくれ。
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あまね(プロフ) - まってぇぇぇぇぇぇ更新はぁぁぁぁぁぁ!?!!!!!????! (2月21日 18時) (レス) @page14 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
簡単酢 - 凄い!とってもなんか好きです!!!!頑張ってください! (11月12日 18時) (レス) @page14 id: f9e5903924 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキューしか勝たん - 終わり?更新してよ (2021年7月31日 12時) (レス) id: 8aa694c44d (このIDを非表示/違反報告)
中村千尋(プロフ) - 更新頑張って下さい!!とても続きが気になります (2019年10月3日 1時) (レス) id: a991a170a0 (このIDを非表示/違反報告)
あずき♪(チームあみ) - 続ききになります、更新頑張ってください! (2019年8月1日 10時) (レス) id: 98bcac9dd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おと〜ふ。 | 作成日時:2018年8月7日 1時