厄介な黒猫に気に入られました【黒尾鉄朗】

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「歓迎会やるぞ」


黒尾さんのその一言がきっかけで、部活終わりに音駒のみんなで近くの焼肉屋さんに来ている。

なんでも、私の歓迎会なんだとか。
そんな気費わなくてもいいのに。

しかもなんとも微妙なタイミング。



「肉焼けたぞー」

「俺食べまっす！」

「おいリエーフ！お前まず皿に乗ってるの片付けろ！」

「じゃあ俺もらいます！」


まあ、みんな楽しんでるからいっか。



「Aちゃん、食べてなくない？」

「食べてますよ、そういう黒尾さんこそ焼いてばっかりで食べてないじゃないですか」


私の向かい側に座っている黒尾さんはさっきからみんなの分を焼いてばかり。

夜久さんがオカンだとした確実に黒尾さんはオトンだな。



「だってあいつらに任せてみろ、確実に黒こげにされるぞ」

「まあ、確かにそうですけど…」



人数が多いため卓がいくつかに分かれているんだけど、向こうは海さん、研磨、福永くん、犬岡くん、芝山という落ち着いたメンツ。

こっちは私、黒尾さん、リエーフ、山本、夜久さん。

夜久さんは夜久さんで大変そうだし、必然的にそうなる。



「私が焼きますよ」と言うも「主役にそんなことさせれませんー」と言って断られた。



「黒尾さんはいいお父さんになりそうですね」

「まじ？」

「はい、自分よりみんな優先なところとか、割と頼り甲斐あるところとか」



そう言うと、黒尾さんは固まってしまった。


よく見ると、耳だけ赤いような。



「何照れんだよ黒尾ー」

「……別に照れてませんー」

「わっかりやすいな、お前」

「夜久くんのお肉回収ー」

「おいなんでだよ！」



どうやら夜久さんによると黒尾さんは照れたらしい。

黒尾さんでも照れたりするのか。



「ふふっ」

「何笑ってんの」

「なんでもないです」

「Aちゃんのお肉も回収ー」

「なんでですかっ」



歓迎会はどこいったって感じだけど、私はここが心地いいと改めて実感した。

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