仲直り ページ49
急いで反対の退場口まで走っていたら、その前に前方から歩いてきた心操くんと会った。
微妙な空気が私たちを包む。
会ってどうするつもりだったんだ、私は。
嫌いって言われてるし、そんな相手から慰められたところで火に油を注ぐだけじゃん！
お互い会話は無い。
だけど、その場に留まってくれた。
心「お前の声、聞こえた。」
ずっと続くかと思われた沈黙を破ったのは、心操くんだった。
心「あの緑谷って奴と友達らしいじゃん。なのになんで俺の応援してんだよ。自分のこと嫌いって言った奴だぞ。」
責めるような口調だったけど、表情は罪悪感で一杯なのか情けない顔をしている。
「心ではどっちも応援してたよ。でも咄嗟に声に出ちゃった。」
心「俺が惨めだったからか？普通科が、ヒーロー科に挑んで行くのは滑稽だった？」
「あの試合を見て、そんな事思った人はいないよ。
ごめんね、心操くん。尾白くんが出久くんに個性の件話すなら、心操くんにとってフェアじゃなかったよね。」
視線は外したまま、心操くんは唇を噛み締めていた。
彼がこの体育祭にかけてるのをあの宣戦布告で知ってたのに、ただでさえ分が悪い中、洗脳の条件を知られていては不利どころじゃない。
「ごめんなさい。なんて軽い言葉で済む問題じゃないけど、でもこれだけは言いたかったの。
私、心操くんに頑張って欲しいと思ったのは嘘じゃないよ。それだけは、信じてね。」
そういうと、私も観覧席に戻ろうと踵を返した時、腕を掴まれた。
掴んだ本人、心操くんを見るとまだ視線をさ迷わせて、そしてゆっくりこちらを見据えた。
心「謝るのは俺の方だ。結局お前も、ヒーロー科の人間の味方かと思ったら、裏切られた気持ちだった。
お前は俺の個性について、本当に黙っててくれた。なのに俺は…。」
「でも違う人からバレたんじゃ、私が黙ってても。」
心「他がどうあれ約束は守ってくれた。
悪かった。あの暴言も言い過ぎたよ。」
ふっと笑んだ心操くんに、ようやくこの場の緊張がとけた。
「悪いと思ってるなら、友達になってくれる？」
心「ああ。友達なら、俺の今後の特訓に付き合ってくれるんだろ？」
「え⁉転科出来ることになったの⁉」
心「いや素地の差を実感したから、今から頑張ろうと思って。」
「おー、そういうの嫌いじゃないよ！」
わだかまりが消え、私たちはいろいろ話しながら歩いた。
今はただ、ついさっきの様に話せるのが嬉しかった。
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悠吏(プロフ) - めっちゃ面白いです(*´ω｀*)でも1つ……1回戦開始のマイクのセリフでアカンとこで改行されててちょっとわろたww (2018年11月7日 2時) (
レス) id: b245c2163f (このIDを非表示/違反報告)
ゆなん19(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます！すごく励みになりました。更新頑張ります！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: eb3ba049ce (このIDを非表示/違反報告)
みー - 相澤先生が猫になった夢主を撫でるの和みました …さすがテクニシャンwww！ すごく面白いです。これからも更新頑張ってください！ (2018年8月27日 23時) (レス) id: 163146930c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆなん19 | 作成日時：2018年8月16日 3時
