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瀬呂くんと別れ、スタジアムを見渡せるところに来た。
A組の観覧席まで遠いので、仕方ない。
スタジアムの中央では、ちょうど出久くんが外に向かって歩き出していたのを、何か無理矢理衝撃を与えたのか、出久くんを中心に風が起こっていた。
よくよく見ると指が痛々しいほどに腫れ上がっている。
その痛みで、洗脳を解除したのか。
心操くんの洗脳は、ほぼ一発勝負。
相手が気づいてなければもうワンチャンあるかも知れないけど、口を手で抑えている出久くんを見るに、やっぱり尾白くんから個性について話してあったようだ。
そうなれば、身体能力や経験がものを言う。
例え授業で1ヶ月程度しかやってなくても、それは如実に差が出る。
心操くんが出久くんに返事をさせようと、言葉をかける。
それはだんだん大きくなり、悲痛に満ちた声になる。
心操くん。
出久くんは個性には恵まれなかったよ。
だって無かったんだ。
それでも諦めず、今まで頑張ってきた。
そのおかげなのか、人に恵まれた。
心操くんは、恵まれなかったって言うけど。
でも、…いや違う。
きっと恵まれなかったんだ。
周囲に、人に。
なんでこんなに心が掻き乱されるのか。
放って置けなかったのか。
ようやくわかった。
心操くんは、出久くんに似ていた。
昔の出久くんに。
手摺から身を乗り出すようにして、私は思わず叫んだ。
「頑張れ！心操くん‼」
押し出されそうになっていた心操くんと、目が合った気がした。
その後出久くんの顔を右手で押しのけたけど、それは出久くんの罠で。
両手で掴まれたが最後、出久くんお得意の背負い投げが炸裂し、心操くんは場外に叩き出されてしまった。
歓声と拍手と、そしてマイク先生の実況は続く。
その間に退場口に駆けた私は、保健所に向かう出久くんとマイトさんに出会った。
気まずいかも。
聞こえてたか知らないけど、出久くんのことは結局応援してなかったし。
心ではしてたんだよ？でも声には出なかったというか。
「お疲れ様、あと二回戦進出おめでとう。」
出「ありがとうAちゃん。
あのさ、実はさっき瀬呂くんに会って。」
「もうスタンバッてたの？」
出「すれ違ったんだよ。で、Aちゃんの悩みも聞いた。僕は昔から君のそういう所が好きだから、気にしてないからね。」
「え、あ、はい。」
後ろで顔を隠すマイトさん。
ちょっと！そういうのじゃないから！
というか、その姿で瀬呂くんに会ったのマズイんじゃないの⁉
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悠吏(プロフ) - めっちゃ面白いです(*´ω｀*)でも1つ……1回戦開始のマイクのセリフでアカンとこで改行されててちょっとわろたww (2018年11月7日 2時) (
レス) id: b245c2163f (このIDを非表示/違反報告)
ゆなん19(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます！すごく励みになりました。更新頑張ります！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: eb3ba049ce (このIDを非表示/違反報告)
みー - 相澤先生が猫になった夢主を撫でるの和みました …さすがテクニシャンwww！ すごく面白いです。これからも更新頑張ってください！ (2018年8月27日 23時) (レス) id: 163146930c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆなん19 | 作成日時：2018年8月16日 3時
