兆候 ページ23
相「お前が居なければ、俺は死んでたかも知れない。それに生徒1人守れないで…謝んなきゃいけないのは俺だよ。」
「そんなことないです！だって相澤先生は私たちを避難させるために体を張ってくれました。
ヴィランの雰囲気にのまれそうになってた私を、引き戻してくれました！
謝らなければいけないのは、力不足だった私の方です。」
相「…力不足は当たり前だ。お前はまだヒーローの卵なんだから。それでもお前は、充分過ぎるほど頑張ったよ。
ありがとな、眞塚。
怖い思いさせて、悪かった。」
体を動かすの辛いはずなのに。
本当は全身痛いはずなのに。
ぐるぐる巻きの、丸太のようになった腕を懸命に伸ばして、私の頭をなぞるように触れた。
頭を撫でたつもりなのか、上手く動かない手や腕を必死に使って、まるでゴシゴシ拭くかのよう。
感触だって人のそれじゃなくて、包帯のザラザラしたものしか感じない。
のに、相澤先生は優しげな目をして腕を動かす。
髪がぼさぼさになるとか、そんなことはどうでも良かった。
相澤先生の優しさが胸に沁みて…
杖を飛ばされて相澤先生を抱え込んだ時、もうダメだと思った。
初めて死の恐怖を感じた。
思い出してじわりと目に熱い何かが浮かぶ。
ハラハラ落ちていくそれは、私の膝に跡を残した。
相澤先生は本当に狡い。
どうしてそんなに優しいのだろ。
どうして、欲しい言葉をくれるんだろ。
じんわり、じんわり浸透していくように、何かが胸を暖かく包み込んだ。
それでいて相澤先生を見ると、きゅうっと胸が甘く締め付けられる。
相「ん？」
見つめすぎたのか先生の目がまた柔らかに弧を描き、首を傾げてどうしたと告げてくる。
その姿に何故か体温が一気に上がった気がした。
相澤先生を見ていられず、視線を彷徨わせる。
その間ずっとドキドキして落ち着かない。
おかしい、今の私は完全におかしい。
この前頭を撫でられた時は、単純に嬉しかった。
でも今日は、嬉しいけどそれに以上に…
自分の中で、確実に何かが育っている。
憧れではない、酷く甘くて酷く苦しいもの。
それが何なのか、私は見て見ぬふりをした。
そうでなければいけない。
認めてしまえば、どうなるか。
それの行き着く先がどういう事になるのか。
私が本当にそろそろ16歳を迎える年齢なら、こんな事をしなくても良かったのに。
「相澤先生ありがとうございます！私…幸せ者ですね！」
相「そりゃ良かった。」
にっこりと、笑いかけた。
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悠吏(プロフ) - めっちゃ面白いです(*´ω｀*)でも1つ……1回戦開始のマイクのセリフでアカンとこで改行されててちょっとわろたww (2018年11月7日 2時) (
レス) id: b245c2163f (このIDを非表示/違反報告)
ゆなん19(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます！すごく励みになりました。更新頑張ります！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: eb3ba049ce (このIDを非表示/違反報告)
みー - 相澤先生が猫になった夢主を撫でるの和みました …さすがテクニシャンwww！ すごく面白いです。これからも更新頑張ってください！ (2018年8月27日 23時) (レス) id: 163146930c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆなん19 | 作成日時：2018年8月16日 3時
