四半純血のプリンス (ページ9)

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結局無事に3階の廊下からは脱出し、平穏な夜が訪れた
…が、少女にとっては全く平穏では無いようだ

「…ハーマイオニー、起きてる？」

ルームメイトがぐっすり寝ていることを確認するや否や、ナイトテーブルの引き出しを開けた
小瓶の中で揺れる透明な液体をぐいと飲み干す

「よし」

液体は、透明薬だ。
そして向かう先は、廊下を超えた先。

皆が寝静まった時間の廊下には、絵画たちがコソコソと話す声だけが聞こえる
魔法薬のお陰で姿は見えていないはずだが、フィルチとミセス・ノリスには注意しなくてはならない
特にミセス・ノリス。
猫である彼女には、透明薬を使っても気配は分かるはず。
フィルチに通達でもされた日には計画が台無しになってしまう

「にゃあ」

透明になった足元から一見したら可愛らしい猫の鳴き声がした
…ミセス・ノリスだ。

「おや、ミセス・ノリス。君のご主人はどこかな？北の階段でピープスが悪さをしていると伝えておくれ…儂は所用で相手ができない、とね」

少女を隠すように立った老人こそ、この学校の長アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア…少女の協力者であった
もっとも、協力しているのは少女の方であったが。

「そこにいるんじゃろ？」

「…ダンブルドア、なぜ分かったんです？私の透明薬は不完全でしたか？」

「いいや違う。そろそろ動き始める頃かと思ってね…君たち親子の働きには感謝しているが、深夜の徘徊は喜ばしいものではない」

「文句は私ではなく父にお願いします。この時間を指定したのは彼です」

むっとした様子の少女の白い額にシワが寄った

「まったく、君たち親子はよく似ておる…早く行きなさい。そろそろ薬が切れる頃じゃろう？」