四半純血のプリンス (ページ32)

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ドアを開けると、熱烈な歓迎を受けた
耳の裏をカリカリと撫でてやると、満足気に大きく振った尻尾が樽に当たって派手な音を立てて倒れた

「ファングは元気だね」

満足気に吠えたファングを撫でながら、母のことを思う

「Aがホグワーツへいく年になったら、一つプレゼントを買ってあげるわ。何がいい？」

「フクロウ！」

「あら！じゃあママがたくさんお手紙書かなきゃね！」

フクロウどころか母まで失った私に手紙が来ることは滅多にない
祖父母ももういないし、私の肉親はもう父しかいない。

「…お腹すいた…」

ハグリッドにあんなことは言ったけれど、身体は空腹を訴え続けている。
私の言葉が分かっているのか、いないのか、ファングがテーブルクロスを引っ張った

「だめよファング。これはハグリッドのおやつでしょう？」

ロックケーキが乗った皿を一瞥してファングの頭を撫でる
思えば、ファングも餌の皿に手を付けようとしない

「もしかして、私が食べないならあなたも食べないつもり？」

元気よく吠えた彼は再びクロスを引く
…ハグリッドには後で謝ればいいわよね

「分かった。食べるから。一緒に食べよう？」

皿に乗った肉を頬張るファングの隣で大きなロックケーキに歯を立てる

「歯取れるかと思った…」

びっくりするほど硬いクッキーのせいで痛む顎を擦る
ハグリッドはいつもこんな硬いものを食べているのかしら…
そう思うとおかしくて、憂鬱な心がガラガラと崩れていった
ファングにおどけた視線を向けて、少し微笑む

「ごめんねファング、ちょっと一緒に食べるのは厳しいかも」