四半純血のプリンス (ページ25)

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いつにも増して距離を感じた娘との会話の後、手元に残されたカードとチョコレートを手の中で弄ぶ
チョコレートはどうせあの男からの贈り物であろう
魔法をかけたのか、雪が降っているように見えるカードを開くと、それはAの声で話し始めた

『父さんへ。今日が何の日か分かっているでしょう？父さんならすぐにあそこに行けるわよね？父さんは随分とあそこに行っていないはずよ…チョコレートは母さんに。よろしく、Aより』

何も反応を示さなくなったカードを燃やして、自室を出る
今から姿現わしを使えば彼女の元へ行くのは容易だ。
しかし、あそこは我輩が行くべき場所では無い

「こうだから聖なる夜など馬鹿げているのだ」

「あら、そんな辛気臭いことを言ってはいけませんよセブルス」

「……ミネルバ」

機嫌の良さそうなミネルバにさり気なく行く手を拒まれて、ため息をつく

「あの子にプレゼントは渡したのですか？」

「…彼女にとっても今夜は忌々しい夜かと」

「…セブルス、サンタクロースになることは世の親の定めですよ。友人たちがプレゼントの山に埋まっている中で何も貰えないあの子のことを思うと涙が出ます…ハニーデュークスへ行って、お菓子でも見繕ってこようかしら」

鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気で歩き出した彼女を追う
すぐにでも辞めさせなければ。

「あの子はどんなお菓子が好きか知っていますか？」

「知らんが…どうせチョコレートと答えるでしょうな」

「あぁ。久しく彼にも会っていませんね。てっきりAは彼の元へ帰るものかと思っていましたよ」

「彼女が拒んだのでね」

「不思議なこともあるものですね…あの子は彼にベッタリだったでしょう？」

ふふ、と笑ったミネルバの足が見慣れない階段を昇った
…ここは…

「さぁ、着きましたよ。Aもお母様に会いたがっているでしょうから、彼女の元へ行くなら連れて行ってあげなさいな」

グリフィンドール寮の太ったレデイがこちらを怪訝そうに見つめている

してやられた。
ミネルバは最初から全て気付いていたのだ。
そして、こう言っている。
『クリスマスくらい家族3人で過ごせ』と…