さぁ、旅立とう。第２章【浦島坂田船】

Travel.46 ページ7

志麻「……起きとるよな？さっきビクってしたのバレとるよ」


『……何さ』


あぁもう、と思って返事をすると志麻は安心した様に溜息をついた。


志麻「よかった、起きてた。…怒っとるん？」


『……っ』


さっきと同じ事を聞いてきて、また黙り込む私に答えて？と言われ渋々口を開く。


『……違うよ』


志麻「じゃあ何でなん？」


『……っ』


志麻「……答えられない？」


悲しそうに言われて、ギュッと胸が締め付けられた。


『………ず…………か…………ら…』


志麻「え？」


『……恥ずかしかったから………バカ、２回も言わせないで……///』


志麻「………っ！」


あぁ、これじゃ黙ってた意味がないじゃないか。そう思って赤面して目をギュッと瞑った。


志麻「……何や、そんなんが理由やったんか」


別に素直に言ってくれて良かったけどな？と言って志麻は私のお腹に腕を回していたのを自分の方に引き寄せて肌を密着させた。


志麻「……めっちゃガチガチやん。緊張しとるん？力入っとるで」


『うるさいっ……』


言い返すも志麻ははいはいと返した。


志麻「……もしかして照れると顔背ける癖あるん？」


『っ…！』


志麻「……その反応って事はビンゴなんやな？……じゃあさっきの全部照れ隠しやったんか…」


何故か嬉しそうに言う志麻に私は胸が高鳴った。……あれ、志麻も……高鳴ってる………


志麻「……今の口に出てるで」


『……！ごめんっ』


志麻「…別に？本当の事だし。……それに"志麻も”って事は、一緒って事なんやな」


『………うん』


苦しい位にずっと高鳴って、ぎゅうって胸が締め付けられて……正直、嫌だ。


志麻「……俺ら、頭どうにかしてる位高鳴っとるけど……大丈夫？辛くない？」


『………辛い』


素直に言うと志麻はそか、と言って私を解放した。


『……志麻』


ゆっくりと志麻の方を向くと、私と同じ位赤面していた。


『…本当に一緒だね』


志麻「そうやな」


コツン、と互いの額をくっつけて目を合わせた。




"あのね、志麻”




そして、




"私の事、離さないでくれる…？傍にいてくれる……？”




その返答は、




"……当然や、バカ。愛しちゅうよ”




私にとって、かけがえのない言葉だった。




"Aは？”




"……愛してます”




"……キスして、ええ？”




"……うん…”





"ありがとう…もう２度と離さんからな”




そして、ゆっくりと唇を触れ合わせたのだった＿＿＿

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