49.叫びとなって溢れる ページ5
Aを突き動かすものは、怒りだ。
周りの視線など、気にならなかった。
怒りだけが、Aを突き動かしていた。
ふらり、足を踏み出しながら、ローファーを脱ぐ。脱いだそれを手に握りしめる。
Aはリングへと上がった。
怒りに任せて腕を振り抜く。
握りしめていたローファーが、彼の頭に当たった。
「いって！」
ぶつけられた部分を抑えて、叫ぶ。
純一はAの方を睨みつけた。
「おいA、お前ふざけてんのか＿＿」
「＿＿ふざけてんのはそっちでしょ！」
Aは、体の奥底から絞り出すような声で怒鳴りつけた。
Aの激昂する姿に、クラスメイトたちは息を飲む。
「は？ 何がだよ。言ったろ？
コイツは俺の息子なんだから。一緒なんだよ。
A、お前だってそうだ。
どうせお前も父親みたいになる。
家族も友達も捨てるような女になるんだ。
自分勝手でワガママな女にな」
今までのAならば、言い返せなかっただろう。
でも、決めた。勇気を出すと決めたのだ。
「私はお父さんとは違う！」
もうひとつのローファーをらリングに叩きつけた。それは高く飛び跳ね、大きく音を鳴らした。
静まり返った室内へ、Aの叫びがこだまする。
「変わるの。あいつみたいにならないように、変わるって決めたの。
娘だから？ 息子だから一緒？
バカ言わないで。親子だからって一緒じゃない！」
なりふり構わず叫ぶAの声が潤む。
その瞳から、ぼろぼろと大粒の涙が溢れた。
しゃくりあげながらも、Aは大きく息を吸う。
「私だって、秀ちゃんだって……あんたたちとは違うから！」
Aの息は過呼吸のようになっていた。
彼女の剣幕に呆気にとられていた東条は、慌ててAに駆け寄る。
そして、その肩を掴んだ。
「清水！」
呼吸は短く、浅い。
苦しそうに胸を抑えながら、Aはぼろぼろと涙を流す。
「落ち着けって」
しゃくりあげるAの背中を、懸命に擦る。
純一は気に食わないとでも言いたげに、鼻を鳴らした。
「はーい、東条ちょっと清水落ち着かせたげて」
原田先生の言葉に東条は頷く。
Aの肩を抱いてリングから降りていった。
「はーい、じゃあこの試合、引き分けー！」
「は？」
驚く純一や田中先生をよそに、原田先生はそう高らかに宣言した。
おかしいと文句をつける純一を、レフェリーの言うことは絶対だと言って黙らせる。
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れ - 面白いから更新されないの悲しいです (2022年5月13日 0時) (
レス) id: 36b0096a5e (このIDを非表示/違反報告)
Mirai(プロフ) - もう更新されないのでしょうか？ (2019年10月4日 14時) (レス) id: 0ee5b43c16 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 涼宮美桜さん» こちらにもコメントありがとうございます〜！頑張ります！ (2019年8月2日 12時) (レス) id: f75a474b38 (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - 続編、おめでとうございます！！これからも更新頑張ってください！！応援してます！！！ (2019年8月1日 19時) (レス) id: 67fa9efd8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな x他1人 | 作成日時：2019年7月30日 13時
